フィルムで写真を撮ってみませんか。

「フィルムを使う写真に興味を持つ人を一人でも増やす」ことが目標の一個人の活動

カメラの選び方(マウントから)

 さて。

 前回まで、私の所有カメラの紹介をしてきたところではありますが、フィルムで撮影をしてみようと思われた方がいらっしゃったら幸いです。

 今回は、どのようなカメラを選べばよいのかを、マウントに着目してお話ししたいと思います。マウントについてはすでにご説明申し上げていますので、過去ブログ記事を参考としてください。

film-camera-challenge.hatenablog.com

 

 キヤノンオートフォーカスカメラに、ニコンのレンズを装着しようと思っても、マウントの形状が異なるため直接つけることはできません。しかし、ある一定の組み合わせにおいては、「マウントアダプター」という変換金具を用いて、装着することができますが、機能に大きな制約が生まれます。オートフォーカス機能が使用できないことはもちろん、露出が大きくばらついたり、使い物にならないことを多々経験しました。

 

 

 しかし、普通の方は、少なくとも当初は複数のマウントの異なるカメラを所有することは少ないでしょう。一眼レフカメラは、様々なレンズを交換することで、多様性を発揮します。その中核をなすのが、交換レンズです。マウントの異なるカメラを複数所有すると、それだけ、必要なレンズをそろえなければなりません。

 しかし、各メーカーには特色のあるレンズがあります。例を挙げますと、いずれも現行品で、

ミノルタソニー)Aマウント:ボケが最高にきれいなSTF135mmF2.8T4.5

ニコンFマウント:ボケが調節できるDC105mmF2D、DC135mmF2D

ニコンFマウント:古典的大口径レンズのAi-s50mmF1.2

ペンタックスKマウント:空気感を表現できるFA-limitedシリーズ

がございます。すでに新品で販売されていないものを含めますと、ものすごい種類のレンズがあります。思いつくものでは、

キヤノンEFマウント:一眼レフレンズで最も明るいEF50mmF1.0

ミノルタソニー)Aマウント:小型軽量反射光学系で唯一のオートフォーカスレンズ500F8レフレックス

ミノルタSRマウント:曲面にピントが合わせられるVFC24mmF2.8

オリンパスOMマウント:伝説のマクロ50mmF2、90mmF2、ベローズ使用マクロレンズ

 だんだんと、あのレンズが使いたい、このカメラが使いたいと、いつの間にか、マウントは増えていくものです。私のカメラ遍歴も、ニコンF3から始まり、ふとした拍子にペンタックスLXがやってきて(つい手に取ったらつい買ってしまった)、ミノルタSRマウントが使いたくなりミノルタX-700を入手、NFD50mmF1.2Lという非球面レンズを使えるカメラを持っていないのに買ってしまったせいでキヤノンF-1改を入手したという状況です。

 

 一眼レフカメラは、レンズにより撮影カバー域が変わります。「このカメラを使ってみたい!」という欲求は当たり前のことだとは思いますが、「このレンズが使いたい、だから、このマウントのカメラを買おう!」ということもまた、当たり前のことなのです。

 これから、特徴のあるレンズも、そうではないレンズも、作例は踏まえずに(作例を踏まえようとすると圧倒的にデジタルカメラが優位になってしまいますからね)、いつかは、撮りためていって、作例もアップできればいいなとは思ってはおりますが、少しずつお話ししていこうと思っておりますので、お付き合いください。

カメラの話(個別第十三回) ニコンフォトミックFTn(第二世代)

 さて。今回でとりあえず、私の有する35ミリ判一眼レフカメラは最後になります。実は修理待ちのカメラが一台あり、これから新しいものを購入する可能性も大いにありますが。

 

 最後のカメラになったのは、ニコンフォトミックFTnです。まずは、外観から。f:id:film-camera-challenge:20180209235948j:plain

 うん、頭がごっついですね。このカメラは、ニコンの最初のプロ用一眼レフカメラ「F」の最終バージョンです。最終バージョンといっても、違いはファインダー部分(頭部分)で、露出計を搭載し、そして通称ガチャガチャと呼ばれる絞り設定方式になったカメラです。ニコンFの発売が1959年で、この最終バージョンは、1968年。コツコツと10年間の開発努力が、この頭に込められているわけです。そして、1971年にニコンF2が発売されるまでのニコンの最上位機種を守った頭でもあります。

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 上から見た図です。頭のでっかさが目立ちます。そして、ニコンFの不人気理由「使いにくいシャッターボタン」。シャッターボタンがカメラの後ろ側にあり、押しにくい、というのが世間の言い分ですが、使ってみるとそう違和感はありません。シャッターボタンの赤点は、巻き上げ時にフィルムが巻き上がっていることを確認できる機構となっております。

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 頭を外すと、こんな感じです。外してもやっぱりでっかい頭です。この頭の中に、H-D水銀電池2個を入れると露出計が動きます。

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 私にとって、このカメラの最大のデメリットは、フィルム交換の時に裏蓋を外さなきゃいけないこと。堅牢性は確かに維持できるのでしょうが、これは、本当に面倒です。特に、三脚に据えていれば、一度三脚から外さないといけません。

 ニコンFは、露出計なしのトンガリ頭ファインダーを搭載したものが最も人気で高価に取引されておりますが、露出計の作動の可否は別としても、シャッタースピード表示があり、このフォトミックFTnが最も使いやすいと思っております。もし、伝説のニコンFを使いたいというお思いの方は、ぜひ、フォトミックFTnをチョイスの一つに加えていただければと思います。

 ニコンフォトミックFTnをまとめますと、このようになりました。

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携帯性は、頭でっかちで重くバランスが悪いので3点減点。

デザインも、頭のでっかさがバランスを崩してしまっているのは間違いありません、3点減点。

質感は、カメラ自体が高級品の時代のプロ用機種です、文句なしの満点。

操作感は、巻き上げ、シャッターの感触共に文句なしだが、シャッターボタンの位置が手前過ぎて押しにくいそうなので1点減点。

ファインダーは、機能的で見やすいものの時代柄暗いため、1点減点。

入手のしやすさは、このフォトミックFTnファインダー搭載機種は安価で数も多いが、50年も前の機種なので1点減点。

堅牢・修理は、メーカー修理は不可ではあるものの、昨年このカメラもオーバーホールを行い復活できました。しかし、プリズムに難ありのものも多いため1点減点。

システム力は、当時の豊富なアクセサリーもまだ流通しており、ニコンの最近の絞りリングがないレンズ以外は使用可能なので満点。

 

 このカメラ、廃棄予定品であったものをお願いして譲っていただきました。段ボールに数台のカメラが入っていた中で、チョイスしたのはこのカメラともう一台のフォトミックFTn、ニコンF4Sでした。報道関係に使われていたようで、どのカメラも擦り傷はもちろん、へこみも多々ありました。残念ながら、フォトミックFTnは二台とも、低速シャッターが動きませんでし、50年から経たカメラなので当然オーバーホールは必須と思い、ニコン製カメラの修理で有名な「キィートス」さんにお願いし、約2万円をかけて整備いたしました。結果、巻き上げはスムーズで、シャッターもしっかり切れる、安心して使えるカメラとなって生き返りました。さすがは、第二世代の最も頑丈なカメラのうちの一台です。もう一台のフォトミックFTnは、二台有しても持て余すので友人に譲りました。ニコンF4Sは、ファインダーが壊れておりましたがボディーは元気だったので、別途、ウエストレベルファインダーを購入し、付け替えて完全復活とさせました。

(参考)ニコンF4

film-camera-challenge.hatenablog.com

 

 「フィルムカメラ、初めようと思ってカメラ買ったんだよ。ニコンフォトミックFTnってやつ。」なんて人がいたら、めっちゃ格好いいなぁ、と思います。このカメラに比べたら、どのカメラも軟派に見えちゃいますから。

カメラの話(個別第十二回) ペンタックスKX(第二世代)

 さて。

 今回は、ペンタックスの非常にオーソドックスなカメラであるKXを紹介します。同じ名前のデジタルカメラ(こちらも同じくペンタックス)もありますが、もちろん、フィルムのカメラの紹介です。

 

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 このカメラは、1975年にペンタックスが意を決して、それまでのM42マウント(ねじ込み式マウント)から決別し、新たに作成したKマウントに移行する際に発売された、K2、KX、KMの3機種のうち、真ん中ランクになるものです。ちなみに、K2は電子制御シャッターを搭載し、絞り優先オート撮影を可能とした、第三世代のものとなります。

 KXとKMの違いは、KXにあってKMにないものは以下の通りです。

・絞り値がファインダー内で確認できる

ミラーアップ機能

・測光素子がリニアに反応するものが搭載

・銀蒸着プリズム(KMはアルミ蒸着のため、暗く、青っぽく着色する)

・裏蓋部のメモホルダー

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 塗装は角が少しだけすれて、地金の真鍮の色が見え隠れしているのがお判りでしょうか。この塗装、とってもツヤツヤしていて、40年経っているとは思えないものです。この塗り以上は、キヤノンF-1改しかありません。

(参考)

film-camera-challenge.hatenablog.com

 さらに、KMの下位機種として、海外へはこの時期から、国内販売は1990年代になってからK1000というものが発売されました。このカメラには、絞り込みボタンがなかったので、私の興味の対象外でした。

 それまでのペンタックスは小型軽量を売りにしておりましたが、さらなる小型軽量を追求したオリンパスにお株を奪われてしまったため、本カメラは気合を入れて作ったのだとは思いますが、翌年には小型軽量機のMX、MEを筆頭とするMシリーズが発売されてしまい、短命にその役割を終えました。

(参考)

film-camera-challenge.hatenablog.com

film-camera-challenge.hatenablog.com

 

 KXの魅力は、抜群の安定感です。それ以前のペンタックスSシリーズと同様に、布幕横走り機械式シャッターという普遍的な機構を搭載しており、最も修理可能性が高いカメラのうちの一つだと思っております。他に以前紹介した布幕横走り機械式シャッターのカメラにはこのようなものもあります。

film-camera-challenge.hatenablog.com

 ペンタックスKXをまとめますと、このようになりました。

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携帯性は、大振りなので2点減点。しかし、重さはさほどでもありません。

デザインは、非常にオーソドックスであり、風格もあることから満点。

質感は、この後発売されたMXよりも塗りの質が良いと思われるもののLXにはかなわないかと思い、1点減点。

操作感は、巻き上げ、シャッターの感触共に文句なしだが、ミラーの反響音が響くので1点減点。

ファインダーは、機能的で見やすいものの時代柄暗いため、1点減点。

入手のしやすさは、実質1年間程度しか販売されず、非常に数が少ないです。しかし、あれば数千円からの入手が可能であるため、3点減点。

堅牢・修理は、メーカー修理は不可ではあるものの修理屋さんでほとんどの修理が可能と見込まれることから1点減点。

システム力は、Kマウントのレンズはもちろん、アダプターでそれ以前のM42マウントのものも全く差し支えなく使用できるが、本体に拡張性がないため1点減点。

 

 実はこのカメラ、とっても気に入っているのです。LXよりもお気に入りで持ち出す機会も多かったのです。レーダーグラフではいまいち点数が伸び悩んでいるようですが、数が少ないこと以外には、ほぼ不満のないカメラなのです。さすがに、Sシリーズは古く、M42ネジマウントしか使えないことに不安を感じるあなたに、オリンパスへの対抗意識の塊で0.5mmずつ縦横高さを小さくしたMXのスタイルがいまいちしっくりこないあなたに、マウント変更という一大事を担った、ペンタックスの歴史的名機を使ってみたいあなたに、LXはマニュアルフォーカスカメラを使うのに当たり前だよね、もっと硬派にとんがってみたいよねと思うあなたに、非常に適したカメラだと思います。ペンタックスの中では、一押しです。

カメラの話(個別第十一回) ニコンFE(第三世代)

 さて。

 今回は、私の恩師(写真関係ではない)からいただいた、限りなくデットストックに近い状態のカメラです。1978年発売の、相性が「シンプルニコン」、ニコンFEです。まずは、外観から。

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 シンプルニコンの愛称にふさわしい、非常にカメラらしいデザインです。撮影ポジションが少し上過ぎました、もう少し正面に近い位置だともっとスタイリッシュに見えます。

 1977年に発売された、「ニコンFM」(愛称はコンパクトニコン)と外観は非常に似ており、どちらも前面にはロゴがございませんが、巻き戻しクランク基部に黒いリング(露出補正やフィルム感度設定をつかさどるもの)の有無で判別できます。なお、右手親指が当たる部分にシリアル番号があり、その頭文字にそれぞれ「FE」「FM」の表記がございます。

 電子制御式シャッターであり、絞り優先オートが使える反面、機械式シャッター搭載でロングセラーとなったFMの後継機であるNew FM2に隠れて、ニコンの中級一眼レフ機ではあまり人気がないのではないかと思われますが、これからお話しすることを足しこみますと、NewFM2よりもポテンシャルが高い(かもしれない)ことにお気づきいただけると思います。

 まず、露出連動爪が可倒式であり、Ai以前のレンズを絞り込み測光で使用することが可能であること。後継機種であるFE2やFM2、FM3AではAi以前のレンズは装着できず、使用することはできません。

 次に、FM、FM2はシャッタースピード表示が視野内に出っ張っていたのですが、FE、FE2FM3Aにはそれがないこと。画面は四角であってほしいです。

 さらに、絞り優先オートが可能である上に、万が一の電池切れの際には、1/90秒と

バルブ撮影は可能であること。ここは、機械式シャッターなのです。

 

 私は、ニコンというメーカーは非常にユーザーの面倒見がよいメーカーと思っております。それは、ニコンFマウントをずっと維持していることはもちろんではございますが、もっと些細な、ファインダースクリーンにも言えます。FM/FE、FM2/FE2/NewFM2FM3Aと世代は異なりますが、ファインダースクリーンの大きさは同じであり、互換性があります。フィアンダースクリーンというものは、時代を経るにつれ、明るくかつピントがわかりやすく解消されてきたものです。最新式のFM3A用のものが、FEにも使用可能なのです。ただし、フィルム感度設定を2/3段低く(例示:ISO200のフィルムを装着する場合は、フィルム感度の設定をISO100+1/3段)する必要はございますが。このファインダースクリーンは、最高であります。

 

 ニコンFEをまとめますと、このようになりました。

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携帯性は、ニコンの中では小型軽量ではあるものの、オリンパスOM-1には見劣りするため1点減点。

デザインは、非常にカメラらしく秀逸であり、満点。

質感は、見て眺める分には文句なしではあるが、シャッターの反響音が耳につくため1点減点。

操作感は、フィルムが進むにつれ巻き上げが重くなること、私は右目が利き目であるため支障ないが、左目が効き目の場合、巻き上げレバーで右目を突いてしまうため2点減点。

ファインダーは、シャッター・絞り値の表示があり、FM3A用ファインダーを搭載するとピントも見えやすいが92%と視野率がやや低いため1点減点。

入手のしやすさは、流通量が多いこと、価格もこなれているが、黒の流通量が極端に少なく感じ1点減点。

堅牢・修理は、電子部品が壊れたものを1台購入したことがあること、使用中に1台破損したことがあるため2点減点。

システム力は、モータードライブやファインダースクリーンの流通があり、ほぼすべてのニコンレンズが使用可能であることから満点。

 

 我が家初の一眼レフカメラであり、私が初めに触った一眼レフカメラニコンF3HPでしたが、それに比べて圧倒的に軽く、特に自動車を保有していない高校生・大学生の時期には撮る撮らないにかかわらず、ほぼ毎日持ち歩いておりました。それでも全くのがたがなく、非常に優秀なカメラだと思っております。

カメラの話(個別第十回) ミノルタSRT-super(第二世代)

 さて。

 ご紹介できるカメラも残りわずかとなってきました。最近の、といっても20世紀末のもので、発売から20年が経過したものではありましたが、フィルムカメラとしては比較的最近のものの紹介が続きましたので、今回はちょっと古いものを。第二世代(機械式一眼レフカメラ)の、ミノルタSRT-superです。

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まずは、外観から。

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  大振りで、角ばっていて、いかにもレトロ感が漂うカメラです。1973年発売のカメラではありますが、1966年発売のSRT-101を改良したカメラとなりますので、基本設計は60年代のものです。SRT-101は、露出計を搭載(ミノルタでは初めてのTTL露出計を搭載※)し、かなり市場で好評であったことや、ユージンスミス氏(国内では水俣病の取材で有名な米国のカメラマン)が愛用した大変有名なカメラです。そのカメラに、ファインダー内で絞り値がわかるようになったこと、ファインダースクリーンの改良、ストロボがクイックシュー方式になったこと、といった小改良が加えられたものです。2年後にはSR505という機種にマイナーチェンジしたため、発売期間は実質3年弱ではありますが、現在でも結構市場にあり、飲み会参加費程度で購入も可能です。

TTL露出計:撮影用レンズを透過した光の量をはかる露出計。スルー・ザ・レンズの略号。

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 上から見た図ですが、長方形です。そして、巻き上げレバーの軸受け部にシャッターボタンがあります。さらに、巻き上げレバーの回転角度が非常に大きいです(ただし、小刻み巻き上げは可能です)。私は比較的手の小さ目男子であり、このカメラは手に余ります。また、巻き上げ時に、親指の腹が、上記写真の右下角にちょうど当たり、痛いです。

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 シャッター幕は布幕横走り式シャッターで、非常に静かです。大振りなボディーがショックを和らげてくれるからでしょうか、非常に良いシャッター感触をしております。また、オーソドックスな機構ですので、まだ、職人さんが直してくれることが多く、分解清掃を引き受けてくれる修理屋さんも多くいます。ただし、シャッタースピード表示のために多くの伝達用の「糸」が張り巡らされており、修理屋さん内では結構メンドクサイカメラ、との評価もあるようです。

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 下からの図ですが、写真左側が露出計のスイッチ、右側の細かい凹凸がある円形部分が電池室です。露出計の電源は、しょっちゅう切り忘れますが、入ったままでも暗い場所であればほぼ電池を消耗しないのか電池切れになった経験はありません。また、電池はH-D水銀電池ですでに販売されていないため、アダプター等を利用する必要があります。ほかには、巻き戻し時ボタンと三脚穴のみで、非常にシンプルです。

 SRT-superをまとめますと、このようになりました。

 

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携帯性は、大振りなので3点減点。ただし、重さはあまり感じません。

デザインは、オーソドックスとはいえ、レトロ感満載のため2点減点。

質感は、大振りのわりに軽く、あれっと感じるので2点減点。

操作感は、シャッターの感触は良いものの、巻き上げレバーの操作に難あり(当方の手の大きさの問題もあり)のため2点減点。

ファインダーは、シャッター・絞り値の表示があり、露出計指標も明快ではあるものの、時代柄スクリーンは暗いこと、四隅が角ではなく丸くなっていることが気に入らず2点減点。

入手のしやすさは、流通量が多いこと、価格もこなれていることから満点。SRT-101も視野に入れると選び放題です。

堅牢・修理は、修理はほとんどの場合で可能ではあるが、当然メーカー修理は不能であることから1点減点。

システム力は、ミノルタマニュアルフォーカスレンズの流通は結構多いものの、そもそものこのカメラの拡張性がないため2点減点。

 

 残念ながら、当方の評価ではあまり好評ではないものの、手放さないのにはわけがあります。それは、このカメラが最後まで動くミノルタSRマウントのカメラであることが明らかだからです。また、私のカメラはシルバーボディですが、ブラックボディは打って変わって精悍さを備えたカメラでもあります。機械式一眼レフカメラは、人気があるもの、ないものが二極化しているようにも思います。前者には、

オリンパスOM-1

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キヤノンF-1改

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 ほかに、ニコンF、F2、NewFM2などがあります。これらのカメラと比べると、大変残念ながら、ミノルタSRT-superは、不当に低い評価価格でございます。1回の飲み会参加費で買えるものも多く流通しております。しかし、その感触は決して人気のある機種に劣るものではなく、ミノルタのレンズもまた、他社のレンズに見劣りするものではございません。初めてフィルムカメラに、他のミノルタ一眼レフカメラも合わせて、是非お勧めです。

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 もう一つ、このカメラの意欲的な試みを。

 初めの写真で、ファインダー部の基部に「CLC」の表示があることにお気づきでしょうか。これは、その当時ミノルタが一押しとしていた「CLC測光」搭載の証です。

 横位置(普通のカメラを構えた状態)で屋外で人を撮影する際(記念写真を撮影するところを想像してください)、通常、頭上には空や太陽があり、下部は服や風景で暗い状態にあります。このカメラが発売された当時、他社のTTL測光を搭載したカメラは「中央部重点測光」や「平均測光」を搭載しており、被写体よりも背景が暗い場合に露出計の指標通りにシャッタースピードと絞り値を合わせると、被写体が暗くなってしまう状況に陥ることが多々ありました。

 それを、このCLC測光では、二個の露出感知素子をファインダーの上下に直列で配することで、極端に暗くもしくは明るく露出表示をすることを避ける方式となっております。特に厳密な露出設定が必要となるスライドフィルムではこの方式のみで追い込むことは困難と思いますが、露出に寛容なネガフィルムで撮影する場合にはこのCLC測光、今でも十分役に立ちます。残念ながら、ミノルタも1977年に発売したXD以降、搭載することはありませんでしたが、高精度の分割測光を搭載するニコンFA(1984年発売)から20年近く前に、非常に単純な仕組みではあるものの、撮影時の失敗を減らしたいと考えたミノルタのカメラ開発者様の心意気を感じる素晴らしい仕組みと思っております。

カメラの話(個別第九回) ニコンF90XS(第四世代)

 さて。

 前回は、四代目のニコンのフラッグシップ機であるニコンF4をご紹介いたしましたが、今回は、このF4の評価を下げてしまうほどの名機であったF90XSをご紹介いたします。

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 1988年に、世界初の1/8000秒シャッターを搭載したオートフォーカス一眼レフ機「F801」が発売され、オートフォーカス機能の強化とスポット測光を搭載した「F801S」に進化し、さらに、オートフォーカスエリアが広くなった「F90」に進化したのちに発売されたのがF90Xです。まずは、外観から。私のF90XSには、縦位置グリップが装着しております。もちろん、外すことも可能です。

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 F90、F90XSには裏蓋の違いで、ノーマル、D、Sの3種があり、Dはデータパック(日付写しこみ機能)が、Sはマルチファンクションバックといって、なんか、いろんな機能付きとなりました。が、使い方がメンドくさく、結果的にほぼ使いませんでした。唯一使った機能は、「AEロックとAFロックを、AEロックレバーで同時に作動させる」ことだけ。まぁ、合ってもなくても大差ありません。これがそのデータパックです。ほこりっぽいものが見えますが、これは、ほこりです。この時代のニコンの一眼レフは、軟質ゴム部が経年劣化し、ベタベタするのです。これは大いなる弱点です。アルコールでセコセコ拭くと、かなりきれいにはなります。f:id:film-camera-challenge:20180123225017j:plain

 まぁ、今ならF801もF801SもF90もF90XもF90XSも数千円で手に入るので、どれでも良いでしょう。といっても、F90XSは、私が購入した1999年に、定価16万円、税抜き10万円で購入した、とっても高級なカメラだったのです。操作系統はこれら4機種とも非常に似ております(F90とF90XSは全く同じ)。1ボタン1機能で、ボタンを押しながら右手親指部のダイヤルをクルクルと調整。調整した内容は、右側の液晶表示やフィアンダー内の液晶表示で確認、というわけです。

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 ニコンF90Xの魅力は、マニュアルフォーカスレンズであっても、中央部重点測光のみとはいえ露出計が稼働し、マニュアル露出と絞り優先オートが使用可能であること、単三乾電池4本で駆動すること、歯切れのよいシャッター音、92%の視野率とはいえ、0.78倍とF3HPやF4を超えるファインダー倍率とピントの見やすさ、といったところでしょうか。ちなみに、F801とファインダースクリーンの大きさは同じですが、スクリーン自体は別物です、F801にF90用のファインダースクリーンを入れると圧倒的にピントが見えやすくなりますのでお勧めです。

 ニコンF90Xは、発売当初、非常に評価は高かったと思いますが、2000年以降、その評価は一変します。プラスチック丸出しとか、ワイドフォーカスは扱いにくいとか、いろいろと不満が言われるカメラになってしまいました。その理由は、ただ一つ。後継機種のニコンF100が、金属外装で、第五世代目のフラッグシップ機であるF5にそっくりの操作性だったからです。

 実は、私もF100を所有していた時期がありましたが、すぐに手放してしまいました。思い入れのこともありますが、それ以上に、「F5とそっくりなF5の下位機種」という立ち位置が嫌いだったからです。F90Xは、F4と撮影へのアプローチを異としたうえでも操作性が洗練された、単独でも映えるカメラでした。その輝きを、F100に感じることはできないのです。F5のチタン外装に比べて、耐久性で劣るマグネシウム外装。コマ感覚を赤外線で監視しているF5に比べて、スプロケットで数えているF100。シャッター検査機能を有するF5に比べて、有さないF100。これらのF5の機能は、すべて、F90Xはもちろん、F4も有していません。しかし、外観がソックリであるがために、F5が有しているにもかかわらず、F100が有していないことは私には不満なのです。

 では、ニコンF90XSをまとめますと、このようになりました。

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携帯性は、電池抜きで785gとF3HPと大差ありませんが、グラマラスなので、結構かさばるため、2点減点。

デザインは、オーソドックスではあるもののややボッテリとしているので2点減点。F801シリーズのほうがシュッとしていて格好いいです。

質感は、プラスチック感満載の上、裏蓋がべたべたするので3点減点。

操作感は、一ボタン一機能で非常にわかりやすいが感触は特上とは言えかねるので1点減点。

ファインダーは、ピントの見え方や倍率は優秀ではあるものの視野率が92%と低いので1点減点。

入手のしやすさは、1万円から買えちゃう個体が、選べるくらいあるので満点。

堅牢・修理は、上位機種であったため堅牢性は高いと思われるが修理はまず難しいだろうから2点減点。

システム力は、Ai化されていればマニュアルフォーカスのニコンレンズが使用可能であることから1点減点。

 

 かなり操作性も洗練された、高級機種にもかかわらず、今やリサイクルショップの「ご自由におさわりください」コーナーに入ってしまっているカメラです。しかし、そのポテンシャルはプロが仕事で使用するのに耐えうるものであり、さらには、当時のフラッグシップ機であったF4をも超える部分を持つカメラでございました。

 初めてカメラとして使うには、ちょうどいい練習相手になってくれることでしょう。

カメラの話(個別第八回) ニコンF4、F4S(第四世代)

 さて。

 

 寒さが続いておりますね。やはり、このような季節はプラスチック外装のカメラに限る!ということで、今回も引き続き、プラスチック外装のカメラを紹介します。私が最も頼りにしており、イザというときは必ず使用するニコンのフラッグシップ機、F4です。なお、バッテリーグリップ部の違いで、F4、F4S、F4Eがあります。我が家にあるのはF4とF4Sで、F4は単三乾電池4本使用、F4Sは同6本使用であり、巻き上げスピードがF4Sのほうが速い、という仕様になっております。なお、F4ではニッカド・ニッケル水素電池は電圧がすぐに下がってしまいすぐにバッテリー上りとなりますので、充電池を使いたいのであれば、F4Sがお勧めです。

 まずは、外観から。

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 グリップ部に傷があるのは、実用品として使っている証なのでお気になさらずに。このカメラは、1988年に、ニコンのフラッグシップ機の4代目として登場しました。

 ちなみに、3代目はこのカメラ。

film-camera-challenge.hatenablog.com

 ニコンF3から大きく進化したところは、

オートフォーカス機能を搭載

・多彩な露出制御機能を搭載

中央部重点測光に加えて、分割測光、スポット測光を搭載

・電動巻き上げ、電動巻き戻し機能を搭載

 その結果、

・大きく重くなった。

・ダイヤル・レバー操作を踏襲したため、ゴチャゴチャになった。

・すごく高くなった。(F3が13万円→F4が24万円)

ボタン電池→単三乾電池4本(F4Sは6本)と、本体に加えてさらに重くなった。

 

 また、外装にプラスチックが用いられた唯一のニコンフラッグシップ機でもあり、使い込むとテカっちゃうことから人気があまりありません。しかし、この、レバーとダイヤルの量は圧巻であり、電源のオンオフにかかわらず、瞬時にカメラの状態が把握できるこのレイアウトは非常に優れていると私は感じております。

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 それに、内部の構造のしっかり感も半端ありません。

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 しかし、F4と同時期に発売された中級機種であるF801がF801Sに、さらにF90に、そしてF90X(1994年発売)にと順当に進化し、オートフォーカス機能が強化され、また、ライバルキヤノンがEOS-1n(1994年発売)を発売、5点測距を実現すると、その評価は「重い」「ゴチャゴチャ」「時代遅れ」「オートフォーカス機能付きマニュアルフォーカスカメラ」とさんざんなものとなり、1996年にニコンF5が発売された際にF3は継続して販売されるものの、F4は早々に生産完了となってしまいました。

 

 実際使っていない人の評価だと思いますよ。これらの悪口。まぁ、定価24万円もするカメラ、そんなに簡単に買えなかったはずですから。

 我が家には3台のF4があります。一台目の購入は2000年の時。本当にあこがれのカメラだったので小躍りしました。枕元に置いて寝ました。外装がテカってきている中古で、7万円+消費税でした。オーバーホールと同時に外装の載せ替えをし、ピッカピカになりました。二台目は2014年でした。F4Sのグリップ付きにも拘らず、1万円でおつりがありました。三台目は職場の他部所で「廃棄」と書かれた箱の中におりましたので、お願いしていただきました。残念ながらファインダー内の表示が外れてしまっていたので、ウエストレベルファインダーを別途求めて、一応完全動作品となりました。

 それくらい、このカメラにはほれ込んでおります。他のカメラにはない、このカメラの優位点は、

・マニュアルフォーカスがとても扱いやすい。ファインダーのピントの見やすさは一級品。

・Ai-sレンズであれば、5分割測光が使えて、露出制御が安心。

・ふるーいAi以前のニコンレンズも使える。

・マニアックなF3AF用レンズも使える。

・サイレント巻き上げは超静か。

・手で巻き戻しをするときの感触が最高。

・シャッターの切れが最高。

 

 では、ニコンF4をまとめますと、このようになりました。

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携帯性は、電池抜きで1kgオーバーですからね、持ち運びは非常につらく、4点減点。

デザインは、唯一無比で秀逸であるため満点。

質感は、プラスチックがテカる前だと特に不満はないのですが、テカると残念なので2点減点。

操作感は、独特ではあるもののとても扱いやすいので満点。

ファインダーは、ピントは見やすいが倍率が倍とやや低いので1点減点。

入手のしやすさは、1万円から買えちゃう個体が、選べるくらいあるので満点。

堅牢・修理は、さすがに修理は厳しくなっているものの堅牢性はお墨付き、壊れているものを見たことがないので1点減点。

システム力は、スクリーン、グリップともに流通が豊富で、ほぼすべてのニコンレンズが使用可能であることから満点。

 使うと必ず満足が得られる、非常に優秀な逸品であると認めます。今こそ、ニコンF4が再評価されてしかるべき時期と思います。

 

 続編追加しました。

film-camera-challenge.hatenablog.com