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カメラの話(番外その2)ローライ35S(非一眼レフカメラ) 

 さて。

 

 一眼レフカメラをお勧めしているはずなのですが、なぜか、この記事へのアクセスが最も多いようです。なので、このローライ35Sについて、ちょっとお話してみましょう。

film-camera-challenge.hatenablog.com

 ローライ、というのはドイツの名門メーカーで、二眼レフカメラとこのローライ35シリーズが有名です。35ミリ判一眼レフカメラや、ブローニ判一眼レフカメラも非常にユニークなものを作っておりました。今でも二眼レフカメラを製造、販売しているようですが、レンズは交換できず、広角レンズ、標準レンズ、望遠レンズをそれぞれ搭載したカメラがあり、それぞれ、定価は100万円前後のようです。

www.kenko-pi.co.jp

 ローライ35シリーズは、初めはドイツで製造していたものが途中からシンガポール製となり、その時にF3.5のテッサーレンズ搭載(35T)とF2.8のゾナーレンズ搭載(35S)の二種類のレンズとなりました。さらに、露出計が変更され、それぞれ35TE、35SEとなり、他に廉価版のBシリーズ(レンズが3枚構成のトリオター型のもの)があったようですが、残念ながら、私は35S一台の所有にとどまり、比較や詳細な区分がわかりませんので、持っているこの個体の私見をご披露いたします。

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 はい、下側部分の塗装が剥げて、金色になった、風格のあるカメラです。確かに、かわいい。

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 上から見た図です。レンズ部分は、巻き上げ完了後に、シャッターボタン左前の銀ボタンを押し、レンズ部分を軽くひねることでカメラ内に収納できます。これがために、前回はフィルムをちぎってしまったわけですが、小さく収納できることは魅力です。レンズ右側が絞り設定ダイヤル、左側がシャッタースピード設定ダイヤルです。絞り値はF2.8からF22まで、シャッターダイヤルはバルブと1/2から1/500まで設定できます。絞り設定ダイヤルの正面部はフィルム感度の設定を行うようになっておます。なお、下側銀レバーを押し上げないと、絞り値を動かすことができません。レンズ収納のボタン手前側にある窓は露出計です。オレンジの丸付き矢印が設定している絞り値とシャッタースピードの組み合わせで動き、銀色の針が明るさによって左右に振れます。これがちょうど合致すると、カメラが判断する適正露出となります。なお、見ての通り、巻き上げレバーは左手側にあり、通常のカメラは右側にあるため、慣れるまで扱いにくい構造です。

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 下から見た図です。塗装が浮いているのがよくわかるかと思います。巻き上げレバー側にストロボをつけるためのシューが、反対側にフィルム巻き戻しクランクがあります。真ん中にフィルム枚数確認窓があり、そのシュー側の銀レバーが裏蓋を外すためのキーになっております。我が家のローライ35Sは、上面部の塗装はきれいなのに裏蓋部の塗装は浮きまくりなので、本体と裏蓋部は別個体だったものを合わせたのか、あるいは、裏蓋部のみ塗装がボロかったのかのいずれかと思われます。

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 裏蓋を外した図です。右側にフィルムパトローネがおさまり、左へ巻き上げていく構造です。右側上部に、露出計用の水銀電池が収まります。なお、電池の交換にはコインが必要であること、露出計のスイッチはないため、明るいところに置いておくとどんどん電池を消耗することが注意事項となります。また、フィルムが入った状態で電池が切れると、そのフィルムを撮り終わるまで電池を入れられないので、外部露出計を使用するか、勘露出で撮影することとなります。

 間違いなく、最小のカメラの一種と言って差し支えないでしょう。しかし、良い部分だけではありません。機能を削減したからこそ、この大きさに抑えられた、と言わざるを得ない部分があります。

 

 まず、ピントが目測であるということが極めて不安です。フィルム面と被写体の距離を図るのに、なんの指標もなく、勘のみが頼りなわけです。距離計というものも外付けでありますが、ほとんどの距離計はシューに取り付ける形態であり、このカメラのシューは、下部にあります。ストロボ撮影を行うのに、レンズの下からストロボ光を当てるのは「オバケライティング」と呼ばれる奇をてらったものです。あごのしたからライトをあてた、ホラー系の映像となりますからね。このシューの位置を決めた設計者、出てこい!と言いたいところであります。

 と、ピントは目測であるにもかかわらず、やたら明るいF2.8のレンズを搭載するとはいかなることか。明るいレンズは被写体深度が薄いばかりではなく、大型化重量化につながります。ピントを目測と割り切るのであれば、もっと暗いF4とか、F5.6のレンズを搭載しさらなる軽量化を目指すべきだったのではないでしょうか。また、40ミリという焦点距離も長すぎます。28ミリ程度にしておけば、沈胴させることも必要なく、もっともっと薄く軽くできたと想像できます。

 

 確かに小さいのですが、我が家で二番目に小さな一眼レフカメラでそのあたりにあったオリンパスOM-1との大きさ比較図は以下のとおりです。

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 OM-1についているレンズは50mmF1.8という廉価版標準レンズです。私の感覚では、思ったよりも、大きさの差は小さい、と感じましたがいかがでしょうか。

 この大きさの差で得られるものは、

・ピントが確認できる。

・構図が正確に確認できる。

・レンズが交換できる。

・F2.8よりも明るいレンズが使える。

・1/1000秒シャッターが使える。

・接写ができる。

・首にかけられる。

 

 私にとっては、OM-1のほうがずっと魅力的に感じられます。もっと精進を積めば変わるのかもしれませんが、目測で撮影をするということ自体が、一眼レフカメラになれた目にとっては、ものすごくストレスです。ほぼ標準レンズ域の40mmで、開放のF2.8でのピントが近距離で自信をもって合わせられる、そんな日が来るとは到底思えません。私の現状のスタイルには合わないカメラですが、いいカメラだと思いますよ、かわいいし。これからも使っていこうと思っています。