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カメラの話(個別第十五回) オリンパスOM-4Ti黒

 さて。

 

 前回に続いて、また、オリンパス製カメラの登場でございます。

 最近、急にオリンパス熱が高まり、我が家にはOM-1が3台、PEN-FV、そして本機が1台ずつの占めて5台があります。

(参考)OM-1

film-camera-challenge.hatenablog.com

(参考)PEN-FV

film-camera-challenge.hatenablog.com

 

 まずは、外観から。

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  1983年に発売されたOM-4の外装をチタンにしただけではなく、省電力、高性能CPU、高速シャッターシンクロストロボを搭載したカメラです。ご先祖であるOM-1とほぼ同じ外寸に十数年分の進化を押し込めたカメラ、とでも言いましょうか。シャッターは電子制御化され、絞り優先オート露出(もちろんマニュアル露出も)可能となっています。我が家では唯一のチタン外装のカメラでもあります。

 OM-1と比べて、高さが1mm増、重さは変わらず510gと驚異的な小型軽量ボディではないでしょうか。

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 上から見ると、OM-1とは全く別物であることがわかります。

 大型化されたシャッターボタン、その左手前の丸ボタンはスポット測光ボタン。狭い範囲の露出を測ると同時に、絞り優先オート時にはその露出で固定(AEロック機能)される優れもの。さらにその状態で、丸ボタン左に前後に並ぶ四角ボタン、前側が「ハイライトボタン」、後ろ側が「シャドウボタン」ですが、それらをプッシュすると、ハイライトボタンはスポット測光した部分がギリギリ白飛びしない明るさに、シャドウボタンはスポット測光した部分がギリギリ黒つぶれしない明るさに露出補正してくれるスーパー機能を搭載しています。また、スポット測光は複数のポイントを測光し、演算する機能も付いております。

 

 と、機能については褒めちぎっているところではございますが・・・・・

 

 OM-4Tiと私との出会いは、遠く2002年まで遡ります。とあるカメラ好きの方から、まぁ、暇つぶしに触ってなよと貸してもらったのがこのカメラでした。このカメラの基礎知識は持っていましたが、想像以上の巻き上げのぎくしゃくとした感触に絶句・・・・途中で重くなったり、最後はスカッと抜けるように軽くなったり、当時使っていたニコンF3ペンタックスLXと並ぶ高級機(なんせ、OM-4tiの定価18万円ですからね)と思っていたのに、なんじゃこりゃーーーーとびっくりし、買うこともなく、興味を持つこともありませんでした。

 そして、昨年、ひょんなところからOM-1を入手し、ズイコーレンズも増え、やっぱり、機能がてんこ盛りで優れていて、かつ、小型軽量のOM-4Tiは外せないよね、と思い、入手してしまいました。操作の感触ではOM-1が、機能ではOM-4Tiが優れております。今は主体に使っているのがネガフィルムですので、高度な露出演算は必要なく、OM-4Tiの高性能はただの宝の持ち腐れであり、結局のところ、感触の気に入っているOM-1ばかり使っている、ということが現状になってしまいました。

 ただ、チタンは他の金属素材に比べて熱伝導が低いのか、あまりひんやりしないので、独特の感触でもあります。きっと、そのうち、スライドフィルムを使用するようになれば、大活躍してくれると思っております。

 

 オリンパスOM-4Tiをまとめると以下のようになりました。

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携帯性は、小型軽量で、文句なしの満点。

デザインは、前からは文句なしに格好いいが、上から見てボタンが多く煩雑な印象があるので1点減点。

質感は、チタンではあるが塗装が傷んだものが多い(塗装が弱い?)ので1点減点。

操作感は、どうにもぎくしゃくとした巻き上げが残念で3点減点。

ファインダーは、、ズイコーレンズは絞りリングの位置が一定でないためやむを得ないのだが、絞り優先オートが使用可能にもかかわらずファインダー内で絞り値の確認ができないため、1点減点。

入手のしやすさは、18万円が8割引き以上のディスカウントで買えるのは魅力ではあるものの、程度の良いものの流通が少ないので1点減点。

堅牢・修理は、チタンは頑丈と信じてはいるが電子部品が壊れると修理不能なので1点減点。

システム力は、レンズの流通量が少なく、また、概して高価なため2点減点。

 

 OM-4シリーズは、マニュアルフォーカスカメラの集大成ともいえるカメラです。高度な露出制御と小型軽量を兼ね備えた、唯一といっても差し支えないカメラでしょう。さらに、外装にチタンをまとったOM-4Tiは、まぎれもなく、お仕事で使うカメラであります。

 ニコンF3ペンタックスLX、キヤノンNewF-1と比べても優れた部分を多く持つOM-4Tiではありますが、私は、どうしても、巻き上げの感触が気に入りません。OM-1もややぎくしゃくとしてはおりますが、度合いが全く別物です。シャッター最高速度を1/2000秒にしたためでしょうか。高さの1mm増も、単純に上側が高くなっただけではなく、下側に0.3mmほど伸びております。底板とマウント基部が面一にならず、マウント基部が0.3mmほど浮いた状態になります。レンズを付けてなければ差し支えありませんが、小型のレンズであっても装着して台に置くと前のめりになってしまうのです。これもまた、残念ポイントです。

 評価は、最高に惜しいカメラ、といったところでしょうか。もう少しで、私のベストな相棒になってもらえたのに、と、とても残念です。