フィルムで写真を撮ってみませんか。

「フィルムを使う写真に興味を持つ人を一人でも増やす」ことが目標の一個人の活動

カメラの話(コラム第三回-1)カメラと、私。(カメラとの出会い)

 さて。熱が冷めないうちに打ちましょうか。

 

 私がカメラというものを身近に感じたきっかけは、小学生のころ。当時、天体写真に興味を持っていた、父と兄が、星夜写真を撮るために、隣町のカメラ屋さんで、一台のカメラを買ってきました。当時「天文ガイド」という雑誌の個人が写真を投稿し、優秀な作品が掲載されるページの中で最も多く名前が出ていたカメラでした。それが、ニコンF3HPでした。

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 ちょうどその年は、ニコンF4が発売された年でもあり、その時に、カメラ店の天井から下がっていたF4のポスターの格好良さにしびれた記憶があります。父に、どうして新型のF4が発売されたにもかかわらず、旧型のF3HPを購入するのかと尋ねた記憶もあります。その時の回答は、F4は重すぎて、天体望遠鏡を痛めるから、というような内容だったかと思いますが、まぁ、そもそも、F4は単三電池を使用し、F3と比べてもはるかに多くの電流を必要としますから、星夜写真を撮るのには根本的に向いていないカメラですよね。

 

 星夜写真であれば電池を必要としないNew FM2の方が適当であったのではないかと思うこともありますが、でっかい反射式望遠鏡を使用する都合上、ミラーアップが容易に行えること、透過スクリーンが用意されていたことから、F3にしたのかもしれません。たぶん、天体雑誌で入選がいっぱいあるカメラを買えば、そういう写真が撮れるだろう、という短絡的なものではないかと思いますが・・・一応、透過スクリーンも購入しておりました。

 1台目のF3購入の半年か一年か後に、父は中古のF3HPを見つけ、二台目として購入してきました(星夜写真は長時間露光をすることがあるので、撮影効率を高めるために2台、3台使うことも不思議ではないことである)。その個体が、今、私の手元にあるものです。このカメラは初期型で、ニコンF3にはよくあるプリズム内の銀蒸着の劣化が発生してしまい、ノーマルファインダーに交換しました。そのころ私は大学生で、HPファインダーよりも1万円安いノーマルファインダーに価格で引かれて購入しましたが、スタイルやファインダー倍率がやや高い(HPファインダーは0.75倍、ノーマルファインダーは0.8倍)ことから、結果的には良かったのではないかと今では思っております。

 星夜写真自体には、私自身が深く興味を持つことはなく今に至っております。フィルム1本が丸々ピンボケとか、微妙な空気の揺らぎで鮮明にならないとか、日周運動を撮影するのに途中で雲が横切って星の線が切れてしまったとか、明け方まで起きてなきゃいけないので眠いとか、私にとってはあまり魅力的なことではなかったようです。いまだに兄は星空を追いかけているので、きっと、魅力を感じる人には感じるものなのでしょうが、それよりも、私はカメラに興味を持つようになりました。

 このカメラを勝手に持ち出すようになったのは高校生のころ。何のたわいもない通学路の風景や、地方祭を撮影しておりました。自転車通学の身には結構重かったとか、フィルムはコニカのネガフィルム「JX400」が愛用品で、5本パック1700円で売られていたとか、でも、なんか色が赤っぽくなって、変な発色だったなとか、現像は同時プリント込みで1300円くらいしていたので、昼食代でもらっていた500円を、パンミミかじって節約したとか、その程度の記憶です。ただ、高校3年生の時に、同級生のうちの歴史研究クラブのメンバーが、高校近くの紙染色工場が取り壊される前に、その周辺を散策しようというイベントを企画し、その時にカメラマンとして抜擢されました。高校は3年間クラス替えのない特殊クラスでしたが、修学旅行のほかに皆がそろって写真を撮る機会はなかったこと、進学校で高校卒業後は散り散りとなり卒業来会っていない同級生がたくさんいること、また、クラスのメンバーで早世してしまった者も複数人いることから、この時のネガは私の宝物です。

 そんな高校時代を過ごしていたころ、たまたま見かけた雑誌のある記事で、次のステージへ進むこととなるのです。