フィルムで写真を撮ってみませんか。

「フィルムを使う写真に興味を持つ人を一人でも増やす」ことが目標の一個人の活動

中判カメラのこと

 さて。

 今までほとんど触れてくることのなかった、中判カメラのことです。

 

film-camera-challenge.hatenablog.com

 

 中判カメラとは、ブローニフィルムを使用するカメラのことです。ブローニフィルムは、短辺が約6cmで、横幅な使用するカメラにより異なり、一般的には4.5cm(645判)、6cm(66判、スクエア)、7cm(67判)、8cm(68判)、9cm(69判)、12cm(612判)、17cm(617判)があります(ありました)。ほかにもあるかもしれません。

 

 我が家には、このうち、66判のカメラと69判のカメラがありますが、私は特に66判を好んでおります。そのメリットは、

①正方形なので、縦位置、横位置を考えなくてよい。

②正方形という特徴のある写真が撮れる。

③ブローニフィルムで現在一般的な「120」フィルムで12枚撮れ、枚数が感覚に合う。

 

 中判カメラも、一眼レフカメラレンジファインダー型のカメラがあります。

 一眼レフカメラは、広角、マクロ、望遠撮影の時に特に威力を発揮しますが、撮影する映像と(ほぼ)同じ映像をファインダー内で確認できるメリットがある反面、撮影の瞬間が見えないこと、ミラーがあるため大きく多いことのデメリットがあります。

 レンジファインダー型のカメラは、一眼レフカメラと比べて薄く軽いものの、完全なフレーミングはできません。一長一短といったところでしょうか。

 

 中判カメラの一眼レフカメラのほとんどは、ファインダーが交換できるシステムカメラです。135判の一眼レフカメラと同様のペンタプリズムを標準またはオプションで用意していたカメラがほとんどですが、このペンタプリズムはガラスの塊なので、大きく重いことから、もともと大きく重いカメラがなお一層大きく重くなってしまいます。

 かといって、ペンタプリズムを搭載していないものは、ウエストレベルファインダーという上からのぞき込むタイプのものになりますが、その特性上、左右が逆になります。ファインダーでもうちょっと右側を入れたいなと思うと、カメラは左側に振らなきゃいけない、と、慣れるまで(私もまだ慣れていると言い難いですが)当分の時間がかかります。

 これが、通常の横位置での撮影であれば左右の逆像で済みますが、縦位置写真にしようとすると、天地が逆になるので、常に逆さ富士を見る状態、というか、股潜りの天橋立を見る状態、というか、脳内混乱の像となります。

 私は体力もなく、根性もないので、大きく重い機材を好みません、したがって、中判カメラはウエストレベルファインダーを愛用しています。そして、長方形フォーマットでは縦位置(縦長)写真を多用しておりますので、中判カメラ、長方形フォーマット、ウエストレベルファインダー、ということになると、天地逆像を見なければなりません。これに我慢ができないことから、6×6の正方形フォーマット、その中でも独特の機構と頑丈さ、ハッタリ、お値段、所有満足度を兼ね備えた、ゼンザブロニカS2やEC-TLを長く使ってきておりました。

 どうしても小型軽量で中判フォーマットを楽しみたいときのために、スーパーフジカ6という蛇腹カメラを持っております。1955年(昭和30年)に発売され、すでに65年も経っているのですが、いまだ、操作性は一級品で、ピント合わせ機能もあり、何の差し支えもございません。75mmF3.5のレンズは古いレンズであるにもかかわらず、白く濁るような持病もあまり聞かず、機構も頑丈で初めての中判カメラに十分お勧めできるものです。

 また、記念写真用の位置づけで、フジカGW690Ⅲというレンジファインダー型のカメラを持っております。6×9cmのフォーマットは圧巻で、その時の空気まで閉じ込めている満足考えられます。レンズは交換できませんが、姉妹機に広角レンズを搭載したGSW690Ⅲというカメラもあり、いつか入手したいと常々思っております。1990年代に発売された比較的新しいカメラなので、レンズには当時のフジフィルム社が誇るEBCコーティングが施され、その描写力は健在です。

 今般、これらのカメラに加えてハッセルブラッドC/Mが加わりました。一眼レフタイプで、ゼンザブロニカと使用用途は類似のものとなります。

 私が所有するゼンザブロニカS2とハッセルブラッドC/Mの大きな違いは、ゼンザブロニカはほとんどの機構をカメラ内に有しているのに対し、ハッセルブラッドはレンズ側に有しております。

 例えば、ゼンザブロニカは、

・カメラにシャッターがある

・ピント合わせ機能も(実質)カメラにある

のですが、かたや、ハッセルブラッドは、

・レンズにシャッターがある

・ピント合わせ機能はレンズにある(一般的な135判一眼レフカメラと一緒)

です。

 そのため、ハッセルブラッドはカメラとレンズは綿密に連携を取らなきゃいけないので、

・シャッターをチャージした後でないとレンズの取り外しをしてはいけない

 といった、儀式があるのです。

 

 一般的に、ハッセルブラッドの価値はレンズの描写力、カメラの静粛性と小型軽量なことにあるとよく言われているようです。

 確かに、カールツアイスレンズのブランド力は絶大です。ゼンザブロニカS2と比べて、静かで小型、軽量であることは間違いありません。

 半面、ハッセルブラッドは撮影後、シャッターをチャージするまでミラーが所定の位置に戻らず、画面は真っ暗です。一眼レフカメラは、撮影する瞬間にミラーが跳ね上がる(ゼンザブロニカS2は潜り込む)ために、本当に撮った瞬間は見れないのですが、ハッセルブラッドはその見えない時間が極端に長いわけなのです。

 ゼンザブロニカは撮影後すぐにミラーが所定の位置に戻るため、すぐ像が確認できるものの、そのミラー駆動音と衝撃が、衝撃的なくらいで、撮影しているとハトが飛び立つ、などと揶揄されたようです。

 

 今だ、私にはハッセルブラッドとゼンザブロニカの使い分けができるようには思えておりません。

 しかし、長年連れ添ったゼンザブロニカも、ご縁で入手したハッセルブラッドも手放す気になれず、ブローニフィルムがある限り、撮影していきたい、と思っております。