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カメラの話(個別第十八回) ペンタックスZ-1P(第四世代)

 さて。 今回も、プラスチック製外装のオートフォーカス一眼レフカメラです。このZ-1Pは、20年近く前に主力機で使っていたものの、機材縮小のために放出し、今回再び入手したものです。その再入手に至ったわけとは・・・・

 

 ペンタックスは、ミノルタα7000が1985年に発売されたことを受けてか、1987年にオートフォーカス一眼レフカメラ「SFX」を発売し、SFシリーズを展開するも(おそらく)売れ行きは悪く、1990年ごろからZシリーズを展開しました。その中の集大成、最上位機種が1994年発売のこのカメラ、Z-1Pです。

 その翌年にはシャッターダイヤルと絞りリングによる操作性に回帰したMZ-5が発売されたことから、残念ながらペンタックス社からは見切られた操作性という感は否めませんが、先進的な操作性であり、現行のペンタックスブランドの一眼レフデジタルカメラの祖であるといっても過言ではありません。

 まずは、正面写真から。

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 レンズが付いていないのは似合うレンズがなかったから。整理前には、FA50F1.4やFA50F2.8マクロといったお似合いのレンズがあったものの、手放してしまい、オートフォーカスレンズはFA100F2.8マクロしかなく、レンズの存在感が強すぎで、外しました。

 しかし、FA100F2.8マクロは、発色、ボケ味、ピントリングの重さが変えられる操作性、完ぺきなレンズであると私は思っております。

 正面からの見た目はやたら頭部分が平たく、横幅があるカメラだな、という印象でしょう。横幅は広いものの、そう大柄と感じることもなく、重さもさほどありません。持ちやすく、手ごろなカメラといった印象です。

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 その平べったい頭部分には、前側にストロボが、後ろ側には液晶表示があります。左側にモードダイヤルがあり、設定した項目に矢印を合わせ(矢印に、設定したい項目を合わせる、というのが正しいところでしょうか)、ボタンを押しながら右手側のダイヤルで設定する、というスタイルです。暗闇での操作は絶望的ですが、暗闇で操作することはあまりないでしょうから、さほど不便でもありません。

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 ストロボは結構有能で、ガイドナンバーは14、画角は28mmをカバーします。最高シャッタースピードは1/8000秒、連写速度は4コマ/秒と、ペンタックスオートフォーカスカメラではトップの性能を誇ります。

 

 連写なんて、フィルムが高いからしないし、遅くてもいいじゃん、と思ったアナタ!

 連写はしなくても、連写速度が速い=ミラーが戻るのが速い&ショックが少ない→見えない時間(ブラックアウトタイム)が短いことや、左手に来るミラーが戻った時のショックがないことは、大いなるメリットがあります。一眼レフカメラのデメリットは3悪、大きい、うるさい、ミラーショックが大きいである、と、有名なカメラ開発者様もおっしゃっていることですからね。

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 このカメラの最大の特徴は背面右上左側ボタンの「IF」です。
「ハイパー」なヤツです。これだけ使いこなせたら、あとのボタンは不要です。

 

 Z-1、Z-5シリーズの特徴は、ハイパー露出制御です。ハイパープログラムと、ハイパーマニュアルです。何度も「ハイパー」と連呼するのが恥ずかしいですが、使いやすいことは間違いないです。そして、この操作性は、今のペンタックスブランドの一眼で不デジタルカメラの「グリーンピー」に当たります。この呼び方も何とかならないのでしょうか。

 ハイパープログラムは、露出モードを「HYP」というものにし、露出を固定したまま、前ダイヤルでシャッタースピードが、後ダイヤルで絞り値が調整でき、あたかも、シャッタースピード優先AE若しくは絞り優先AEになり、IFボタンを押すと元のプログラム露出に戻る、というハイパーなシステムです。

 ハイパーマニュアルは、露出モードを「HYM:というものにし、前ダイヤルを回すと絞りとは固定したままシャッタースピードが変化、後ろダイヤルを回すと絞り値が変化する、IFボタンを押すと元のプログラム露出に戻るというハイパーなシステムです。さらに、「ML」ボタンを押すと、露出を固定してシャッタースピード/絞り値をいじる、「HYP」的な使い方もできます。私は、常に、HYMにしております。めちゃ使いやすいです。

 そして、スペック上出てこないこととして、ファインダーが秀逸です。ナチュラルブライトマットという、LX2000に搭載された優秀なファインダースクリーンが搭載されています。ファインダーの隅々でもピントが合わせられる、しかし、明るい、非常に優秀な性能を有しています。LX2000に搭載されたのちにLX用に単体販売されたものの、現在中古市場では万単位の金額が付いていることからその性能は皆が認める処でしょう。その同等のフィアンダー性能を有している、と言えます。

 

 ではなぜ、私はこのカメラを手放したのでしょうか。

・ミラーのショックが大きく、バタバタする。

・右側に、視野内に出っ張る表示がある。

 この二点に尽きます、特に、私は視野内に出っ張る表示が大嫌いです。同じ理由で、ペンタックスMZ-3も手放しました。しかし、Z-1Pのでっぱりは微々たるものです(MZ-3のはまだ許せていない→再購入に至っていない)。小型化を優先するためにはやむをえなかったのかもしれませんし、古くはペンタックスMXにも視野内へのでっぱりがあったので、あまりペンタックス社では重要視していなかったのかもしれません。

 

 では、ペンタックスZ-1Pをまとめますとこのようになりました。

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 携帯性は、重さはないものの幅が広く、大柄なため2点減点。

 デザインはカエルのようで、あまり格好がいいとは思えないので2点減点。

 質感もプラスチッキーなので2点減点。ミラーショックも大きいです。

 操作感は、前述の通りハイパーな奴が秀逸なので満点。手になじむと超使いやすいです。

 ファインダーはスクリーンが優秀でピント合わせは容易ですが、視野内へのでっぱりがどうしても許せないの2点減点です。気にならない方には満点でしょう。ミノルタαー9や、ニコンF4と張り合えるピント合わせのしやすさと思いますよ。

 入手のしやすさは、販売終了から20年近くが経ち、良品は少ないものの、当方は格安で購入できたので1点の減点としました。

 堅牢・修理については、当時のペンタックスオートフォーカスカメラの最上位機種で持病も聞かないことから壊れにくいとは思われるものの、修理は絶望的と思われるため、2点減点としました。

 システム力は、ペンタックスKマウントはマニュアルフォーカス時代から今のデジタル時代まで一貫して頑張ってくれており豊富なレンズ群があるものの、レア物はとてもレアで高価なことから1点の減点としました。

 

 このカメラは、扱いやすく、また大きさもそれなりにあるために風格もあり、現に(過去に)ペンタックスのアタマも張っていたカメラですから、魅力は大いにあります。特に、ペンタックス社製一眼デジタルカメラユーザーにとっては、MZ-3と並んで必帯のカメラではないでしょうか。