さて。
私にはいくつか、今までずっと縁がなく、これから先も、きっと手に入れることはないであろう、憧れのカメラがいくつかあります。そのうちの1機種が、たまたま目の前にあった話です。
いつものように、カメラ屋さんをウインドウショッピングしていたところ、今までずっと、そして、これからもずっと憧れ続けるだろうカメラがありました。
キヤノンEOS-1nRSです。
1996年ですから、もう20年も前に発売された、キヤノンEOS-1nの派生機種で、ペリクルミラー搭載により撮影時の像が見えるとともに、秒間10コマ連写機能と、超短いタイムラグでシャッターが切れる、市販されたとはいえ、限りなく特殊カメラの部類のカメラです。
発売当時は私は高校生~大学生の時期。スペック命の時期ですよね。そのような時期に、マニュアルフォーカスカメラのニコンF3からオートフォーカス機にあこがれるのはごく当たり前のことでした。
その時の候補は、ニコンF90X、ニコンF70D、キヤノンEOS5D、ミノルタα707siでした。
私は、どうしてもキヤノンEOS5Dが欲しかったのですが、フィルムを通す部分のレールがプラスチックであることがどうにも不安で、最終的にはマニュアルレンズとはいえ互換があるから、というニコンの策略により、ニコンF90XSを選びました。この時から、フィルムのキヤノンEOSシリーズは縁遠いものとなりました。
デジタルカメラの時代になり、初めに購入したのは、小型軽量ですでにKマウントレンズをある程度持っているペンタックスistDでした。
さらに時代が進み、デジタルカメラのフルサイズ化の時に選んだのは、キヤノンEOS5DMark2でした。初めての、キヤノンEOSとなりました。
気に入って7年ほど使っておりましたが、どうしてもDCニッコールレンズをオートフォーカスで使いたいこと、アダプター経由で使っていたM42マウントレンズやオリンパスOMマウントレンズは、ミラーレスのソニーα7で快適に使えることから、キヤノンEOSレンズはすべて手放し、代わりに、ニコンD750を購入、今年春にはニコンDfを追加購入し、至っております。
今更、フィルムで秒間10コマ撮影することはないでしょう。当時は画期的だったオートフォーカスの5点測距だって、今のどのエントリー機種でも二桁点の測距点をもっていますから、全く持って魅力ではありません。ミラーレスカメラでは、撮影した時の画像がそのまま、瞬時に見えておりますから、ペリクルミラーの恩恵もありません。
それでも、それでも、このEOS-1nRSは、私の中に輝き続ける、永遠の憧れのカメラなのです。