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カメラの話(個別第十七回) ニコンF70DP(第四世代)

 さて。20年以上前に買うかどうかを悩んだカメラをようやく買いました。ニコンF70DPです。まずは正面写真から。

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 このカメラは、私が高校生の時に非常に魅力的で、最終的に購入したF90XSと最後まで悩んだカメラでした。

(参考) 

film-camera-challenge.hatenablog.com

film-camera-challenge.hatenablog.com

 

 ニコンオートフォーカスカメラを販売し、当初はF〇01シリーズ(F501に始まり、F801やF601、F401など)を展開し、その次の世代としてF〇1シリーズを出した、中級機種になります。上位機種にF90(改良版のF90X)が、エントリー機種にF50Dがありました。キャッチフレーズは「人への優しさをめざした、フラッシュ内蔵AF一眼レフ。」うりは、(カタログより私見でチョイス)

1見やすい大型液晶表示パネルの心地よい操作性

2静かな操作音

3素早く確実なオートフォーカス

4光の状態を知る3D-8分割マルチパターン測光

5感性にこたえる多機能スピードライト

6想いを形にするイメージプログラム

上部からの写真です。

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 光が反射して見えにくいのですが、右手側に「1」のうりのための大きなカラー液晶があります。左側の「FANCTION」ボタンを押しながら、液晶下のダイヤルを回して設定する項目を選び、「SET」ボタンを押しながら液晶下のダイヤルを回して設定する、という二段階の設定方法です。この操作方法はF70D独特(唯一)のものであり「難解」「わかりにくい」「煩雑」と総すかんを食らいました。

 実際に使ってみると、さほど操作性が悪いとは思いませんが、一点、露出補正については最悪と言わざるをえません。ファインダー内、外部液晶共に、露出補正を行った時には小さな±が書かれたアイコンが表示されるだけなのです。いくつ補正したのかもわからず、そもそも補正していることを忘れそうです。

 「2」の静かな操作音は、さほど静かにも思えません。時代柄、オートフォーカスレンズのほとんどは本体内のモーターをシャフトやギアで連結させ、レンズを伸び縮みさせてピントを合わせておりその音は最近の静かなレンズに比べるとけたたましい音を奏でます。ミラーも「パッタン、パッタン」と結構大きな音がします。本カメラが発売された20世紀末において、無音オートフォーカスレンズをすでに販売しており、また、非常に静粛なEOS10を製造していたキヤノンには及ばないと思います。

 「3」の高速オートフォーカスは、上位機種のF90Xよりも新しい測距素子を持っており、当時としては高速かつ正確だと思います。

 「4」「5」共に、間違いなく、精度が高い露出コントロール機能を持っております、内蔵スピードライトは上位機種F90Xにはなく、外付けスピードライトを使用しなければなりません。この点はF70Dのほうが優れていると言えます。

 「6」のイメージプログラムは、「ポートレートモード」や「スポーツモード」など、8種類のカメラが最適と思われる絞り値とシャッタースピードをコントロールしてくれる機能です。私は使う機会がありませんが、使う人にとっては便利なのではないでしょうか。ちなみに、F90Xにもイメージプログラムが7種類搭載されていたようです。一度も使ったことがありませんので、初めて知りました。

 

 このころのニコンのカメラは、表面のゴム様の素材が劣化し、ネチャネチャしているものがほとんどです。このカメラも多分に漏れず、その症状が出ていました。しかし、(今はなかなか入手しづらいですが)アルコールをキムワイプにつけてゴシゴシすると、結構綺麗に取れます。その代わり、てかてかにはなりますが。写真はゴシゴシ中のものです。ちなみに、日付写しこみ機能と、パノラマ写真撮影モードがあります。 右手親指下のくぼみがいい感じで、持ち心地は良いです。

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 では、ニコンF70DP まとめますと、このようになりました。

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携帯性は、スピードライト内蔵、本体重量600gは魅力的ですが、厚みがあるので一点減点。

デザインは、前から見ても上から見ても後ろから見てもスタイリッシュ。飛び切り上等とまでは言えないので一点減点。

質感は、中級機種とはいえプラスチック感満載の上、裏蓋がべたべたするので2点減点。

操作感は、たぶん、このカメラのみ使い込めば抵抗はないと思われるものの、慣れるまでの時間と前述の露出補正のことがあり1点減点。

ファインダーは、ピントの見え方や倍率は優秀。ただし、上位機種と同じとはいえ、視野率が92%と低いので1点減点。値段の割にはかなり頑張っていると思います。

入手のしやすさは、有れば安いのですがあまり売れなかったのか現存機が少ないので一点減点。

堅牢・修理は、壊れると修理できないこと、私が入手したものはバッテリー蓋が破損していた(簡単にDIYできました)ので4点減点。

システム力は、Ai化されていればマニュアルフォーカスのニコンレンズで露出計が動き、何と言っても内蔵スピードライトで手軽に撮影できるので、満点!

 

 このカメラの事実上の後継機種であるF80Dでは、もちろん、オートフォーカスが多点化されるなどの進化があるものの、連写スピードが3.7コマ/秒から2.5コマ/秒に、スピードライトの光量が14→12にと、スペックダウンしたことがあります。

(参考) 

film-camera-challenge.hatenablog.com

 それ以上に困るのはマニュアルフォーカスレンズでは露出計が動かないことです。マニュアルフォーカスのニコンカメラやニコンレンズを運用し、かつ、スピードライトが内蔵のカメラとなると、このF70Dと、このカメラの旧機種F-601しかないかと思いますが、F-601は、CR-P2という変わったバッテリーを使用するカメラでしたので、このバッテリーの入手が困難なのではないかと思われます。このF70Dは、CR123Aというリチウム電池2本で駆動しますが、私はこの電池互換の充電用電池を入手し、すでに長く使っております。

 

 私は、バッテリー蓋の破損がありましたが、このカメラを、税込みワンコイン以下で入手しました。20年余り前に、買うか、買わないか、穴が開くほどカタログを見たカメラでしたので、少し寂しくなりました。

 これからは、サブ機に最適と思っておりますので、中判カメラやデジタルカメラとともに持ち出したいと思います。