フィルムで写真を撮ってみませんか。

「フィルムを使う写真に興味を持つ人を一人でも増やす」ことが目標の一個人の活動

カメラの話(個別第一回) ニコンF3(第三世代)

 さて。

 

 ようやくカメラの写真を撮ることができましたので、早速カメラの個別の紹介に入っていきましょう。今回はニコンF3の紹介です。

 ニコンF3(エフスリーとメーカーでは読んでいるようですが、私はエフサンと呼んでいます)は、第三世代カメラ(電子式一眼レフカメラマニュアルフォーカス)です。

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知っている人は知っている、超有名なカメラですので、私が紹介する意味は乏しいのですが、私が初めて触った一眼レフカメラで思い入れがあったこと、20年以上にわたり販売され、現在も状態の良いカメラが多数流通していること、プロ用機として作られたため耐久性が期待されることから、やはり外すことはできないかな、と思い紹介します。

 1980年(昭和55年)に、ニコン一眼レフカメラでは3世代目のプロ用機として発売されました。オーソドックスなスタイルに、カメラ向かって左側の赤いラインがレトロ感、モダン感双方を引き出し、未だに外観の美しさは衰えていません。ファインダー(頭の部分、後に出てくる写真でよくわかると思いますが)が交換式となっており、ファインダーの違いにより、F3とF3HP(ハイアイポイント)があり、下に掲載している写真はF3のものです。F3HPは、眼鏡使用者のために、ファインダーからやや目が離れてもファインダー全体が見渡せる、ということで数年遅れで販売され、F3HPの方が需要があったのか、最後まで販売され続けられることとなりました。私は眼鏡使用者ではありますが、F3HPのほうが少しファインダーの高さが高いこと、見える像がF3のほうが若干大きい(ファインダー倍率と言われます)ことから、F3を愛用しております。一応、HPファインダーも持ってはいます。なお、F3やF3HPの外装素材は真鍮で、より頑丈さを追求し、チタンを使用しているF3チタン(チタンカラー:前期、黒:後期)という機種もあります。そのほかプロのリクエストにこたえたF3P(プレス)や、それを市販したリミテッドというものもあります。さらには超高速連射が可能なF3H(エイチ:ハイスピード)というものもありますが、実機を見たことはありません。

 

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 ファインダーが交換できる、ということで、せっかくですから交換してみました。頭が低く、薄くなりました。f:id:film-camera-challenge:20171110215400j:plain

 後ろから見てみましょう。

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 あれ、覗くところがありませんね。これでは、撮影できる範囲がわからないし、ピントも合わせられないし、とっても不便ですよね。

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 パカッ。上側のカバーが開きました。さらに・・・

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 ルーペも収納されていました。

 このファインダーはウエストレベルファインダーというものです。第一世代のカメラが持っていたファインダーです。このファインダーの利点は、小型軽量であること、ルーペを使用すると拡大して見えるのでピント合わせの精度を高めることができること、です。また、ニコンF3の数少ない欠点として、ファインダー内のプリズムの銀蒸着の剥がれというものがあります。どうしても劣化しちゃう部分なのでしょうね。それが、このファインダーであれば、そもそもプリズムがないから、心配がない、ということになります。欠点は、左右逆像なので、動いているものが撮りにくいこと、仕上がりが見えているのと左右逆なので想像しにくいこと、横写真ならともかく、縦写真を撮ろうとすると天地が逆になり、脳内パニックに陥ること、です。

 F3には他にも、アクションファインダー(ゴーグル等を使用し、カメラと目が離れていても全体が見渡せるもの)や、高倍率ファインダーがあります。それらを、合体もののように、用途別に交換し使用することができるというのも魅力です。

 ニコンF3は、耐久性のある非常に優秀なカメラですが、世間では、よく言われる不満がいくつかあります。

①フィルム感度設定がやりにくい。

②露出補正がやりにくい。

マニュアル露出がやりにくい。

④暗所でのファインダー内のシャッタースピード確認豆電球スイッチが押しにくい。

⑤巻き上げレバーのぐらつきが許せない。

こんなところでしょうか。

 ①については、3枚目の写真を参考としてください、ファインダー左側にフィルム巻き戻しクランクがありますが、その基部に、小窓があり、写真では「100」という数字がかろうじて見えようかと思いますが、これがフィルム感度の設定装置になります。露出制御のためにフィルム感度の設定が必要ですが、その方法は、この外周のリングを持ち上げて回すこと。これが、やりにくい、と。私は何の不便も感じたことはありません。使うフィルムの感度が決まっているので、触ることがないですから。私は皆様に、まずはISO400のネガフィルムを使用するようお勧めいたしました。なので、それをお聞きいただける方については、ここの設定を400にしておけばいいだけなのです。欠点とはなりません。

 ②については、4,5枚目の写真を参考としてください。ファインダー右側にあるシャッタースピードダイヤルを「A」にした場合、このカメラは手動で設定した絞り値に応じた適正なシャッタースピードに合わせてくれるのですが、カメラが適正と思うだけであって、逆光条件や全体的に白いもの、全体的に黒いものを撮影するときには人の手で補正しないと、逆光では被写体が真っ暗に、白いものはグレーに、黒いものもグレーに写ってしまいます。それを適正にするためのものが「露出補正」であり、ファインダー左側部分を使うことになります。このとき、手前のほうにある銀色のボタンを押しながら、リングを回すことになりますが、これがまたやりにくい。やろうと思えば。しかし、皆様にお勧めいたしましたネガフィルムは、露出に寛容です、特段触らなくても、ある程度の画像は得られます。なので、欠点とはなりません。

 ③については、写真がありませんが、ファインダー内に小さな液晶で設定しているシャッタースピード(「A」の時はカメラが設定したシャッタースピード)が表示されますが、さらに小さい小さい「+」と「-」が表示され、それが露出が(カメラが思う)適正な状態になると「±」の表示となります。それがとっても見にくい、ということです。これについては、②と同様、ネガフィルムは露出に寛容です。小さな表示を目を凝らしてみる必要なんてないのです。なので、欠点とはなりません。

 ④については、一枚目の写真のファインダー向かって左側のアカポチ、それを押すと、小さな豆電球が③で説明の小さな液晶を照らしてくれるのですが、これがとっても押しにくい、ということです。しかし、このカメラを持って、暗いところで写真を撮りますかね・・・暗いところの写真撮影こそ、感度をどんどんあげられるデジタルカメラフィルムカメラよりも優れたところだと思っております。なので、欠点とはなりません。

 ⑤については、感触のことなので、写真で表現できません。このカメラのフィルムの巻き上げの滑らかさは、格別です。フィルムが入っているのか、入っていないのかわからない軽さ。間違いなく、世界最高のフィルム巻き上げ感覚です。そのためには、若干のぐらつきなんて、些細な問題です。なお、巻き上げレバーが取れてしまった、という経験はないですし、多数の所有者を知っておりますが、そのようなことは聞いたことがありません。

 

 安心して勧められるカメラの代名詞かと思いますが、本体が1万5千円程度から、レンズはオーソドックスなものとしてAi-s50F1.4をつけておりますが、これも1万5千円程度からと、安く見積もっても合わせて3万円以上となりますので、全く初めてフィルム写真をやってみる、というのには、敷居が高いかな、と思われます。

 もし、一台目のカメラで「フィルム、いける」との感触を得た方の、二台目として是非お勧めしたいと思います。なお、常にヤフーオークションでは複数台出ておりますし、インターネット販売をしている中古カメラ屋さんでも置いていないところはないくらいたくさん数がありますので、慌てて買う必要は、現状ないかと思います。また、私所有の個体は1988年に中古で父が購入したもので、前期型に分類されるもののようですが、購入直後と約10年前にオーバーホールをしてはおりますが、撮影に支障が出るようなことは一切ございません。なので、程度はそこそこの中古品を手に入れ、早いうちにメーカーでオーバーホール(公式には打ち切っているようですが、部品交換を伴わないものは受け付けてくれるようです)するほうが永く使えるのではないかと思います。ただし、サポートもいつまで続くかわかりませんので、この点について着目するのであれば、入手とメンテナンスは急ぐほうがいいのかもしれませんね。

 ニコンF3をまとめますと、このようになりました。

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携帯性は、700gオーバーでやや重いため2点減点。

デザインは、ファインダー部が大きすぎてややアンバランスのため1点減点。

質感は、さらに上のもの(F3チタンの縮塗装)があるため1点減点。

ファインダーは、視野率100%は素晴らしいものの、0.80倍であるため1点減点。

操作感は、巻き上げが非常にスムーズで、シャッターの感触も良く満点。

入手のしやすさは、市場に数も多く、価格も1万円前後からあり満点。

堅牢・修理はプロ用で壊れているものをほぼ見かけないうえ、まだ修理可能なことが多いので満点。

システム力は、ニコンの数多くのレンズが装着、使用でき、またF3自体にも多くのアクセサリーが販売されていたうえに、まだ中古市場にも多く存在するので満点。 

 

 個別第一回目として、オーソドックス中の超オーソドックスカメラの紹介となりました。次は何にしようかな、と、私自身が楽しみにしております。