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カメラの話(個別第六回) オリンパスOM-1(第二世代)

 さて。

 

 今年に入り急速に我が家で勢力を広げてきましたオリンパスOM-1です。今のところ、3台がやってきました。第二世代の機械式カメラになります。

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 オリンパスは、大正時代(当時は高千穂製作所)から顕微鏡を開発していた非常に歴史のあるメーカーです。二眼レフカメラ、中判蛇腹カメラ、ハーフサイズカメラ、135判カメラ、APSフィルムカメラと多様なカメラを作っておりました。ブレイクしたのは、1960年代のオリンパスペンシリーズ、ハーフサイズカメラでした。ピント合わせ不要で露出もオートの「押すだけ」初心者向けのもの(EEシリーズ)から、ピントは目測、露出は勘のもの、大口径レンズを搭載したものと様々ありました。しかし、1960年代後半になると徐々に勢いは失われ、135判カメラに押されてきます。そこで、オリンパスが投入した135判一眼レフカメラの2機種目が、M-1、後のOM-1です。

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 うん、間違いなく、格好いいカメラです。巻き上げレバー前側に「MD」と書いてあるシール(剥がれかけ)がありますが、これは、モータードライブに対応していますよ、というマークで、モータードライブというのは電動巻き上げ装置のことです。まぁ、今このカメラを使う人でモータードライブを使う人はそういないと思いますのであまり影響はないかもしれませんが、私はこのカメラの他に2台OM-1があり、1台はシルバーなのですが、もう一台はこれよりも古い世代のモータードライブに対応していない黒ボディです。その古い世代の黒ボディーは塗装がすれると、下地が銀色なのです。このボディの下地は金色(真鍮色)なので、使い込んだ時の色合いが違ってきますから、長い付き合いをするのであれば、将来のすれた時の色が、「黒+金」になるのが希望であればモータードライブ対応のものを、「黒+銀」になるのが希望であればモータードライブ非対応のものを選んでみればいいと思います。経験上、他に「黒+銀」になるボディーは、チタン外装のものくらいなので、レアだと思います。このカメラは後期型になると小さな「N」が付いた、OM-1Nになります。改良点はストロボを使用するときにチャージ完了ランプがファインダー内に出ること、ファインダースクリーンが変更になったことくらいかと思いますので、ほぼ違いはないでしょう。

 

 残念ながらこのカメラには持病があります。ファインダーを覗くと黒いモヤモヤした模様が見える個体が多いのですが、これはプリズムの銀蒸着の劣化です。整備していないOM-1のほとんどでこの症状が出ていますし、今手を入れなければ将来的に出る可能性が非常に高いです。これは、プリズムの押さえに使っているスポンジ状素材が経年劣化して、ベタベタになって、プリズムの銀蒸着をはがしてしまうことに起因します。すでにメーカー部品はないのでプリズムの交換はできませんが、一部修理業者さん(私の知っている範囲では「日研テクノ」さん(大阪))ではプリズムの再蒸着がしてもらえるようです。それなりに金額はかかるでしょうが。なので、このカメラを選ぶ際は、なるべくファインダーがきれいなものを選びましょう。

 

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 操作性で他のメーカーと大きく違うのは、巻き上げレバー側にある大きなダイヤルがフィルム感度設定ダイヤルであること。一般的に、ここはシャッタースピード設定ダイヤルの定位置ですが、オリンパスのカメラのシャッタースピード設定ダイヤルは、

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レンズの付け根にあります。そして、絞り設定リングはレンズの先端側にあります(一部例外のレンズもありますが)。これは、小型化するためにシャッタースピードダイヤルはレンズ付けにあるほうが効率的であったこと、右手はシャッターボタンに集中し、操作は左手で行うようにするにはこのスタイルが便利だからということ、など諸説ありますが、すべては天才設計士米谷氏のカメラ愛から生まれたものということだけは間違いありません。そして、事実とても、扱いやすいです。また、巻き上げレバーそばのスイッチは露出計のスイッチですが、無駄にでかいという評価もあるようですが、手袋をしても操作がしやすく、冬に優しいカメラと言えます。

 

 小型軽量で、布幕横走りシャッターの静かさ、これは米谷氏が追及したこのカメラの魅力であり、いまだにその魅力は全く衰えることはありません。また、ファインダーの倍率や視野率も申し分のないものです。

 しかし、全く欠点がないわけではありません。

 その魅力的なファインダーが、暗いのです。せっかくの小型軽量ボディーに似合う小型軽量レンズをつけると、そのファインダーの暗さが際立ってしまいます。オリンパスもかなり後期に販売されたOM-3Tiのスクリーンは明るいとのことですが、ツメの位置が変わっているとかで、OM-1にそのまま搭載することはできないそうです。また仮に入れたとしても露出計がずれてしまうとのことです。これは、残念ポイントと言わざるを得ません。同じ小型軽量のカメラであっても、

ペンタックスLX

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ミノルタX-500

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に完敗しております。これらのカメラの発売日はOM-1から遅れること10年近くなので当然の進化でしょうが、ファインダーで快感を得るにはちょっと役不足です。あと、一部メーカー改造を受けた個体以外は、露出計の電源が水銀電池であり、もうとっくに水銀電池は販売中止となっていますから、露出計を使うにはアダプターが必要です。

 

 オリンパスOM-1をまとめますと、このようになりました。

 

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携帯性は、小型軽量で、文句なしの満点。

デザインは、オシャレな雰囲気バリバリで満点点。

質感は、肉薄感があること、黒塗装が弱いことから2点減点。特に巻き上げレバーの薄さが不安。

操作感は、よく考えられた操作系統で扱いやすいものの、独特で他のカメラメーカーとの併用が難しいことから1点減点。

ファインダーは、倍率が高いのではあるが、いかんせん暗いため、1点減点。

入手のしやすさは、数が多く、数千円で入手可能なものも多いが、手を入れる必要があることから1点減点。

堅牢・修理は、外装は薄くへこみやすいこと、特にプリズムに痛みがある個体が多いことから2点減点。

システム力は、レンズの流通量が少なく、また、概して高価なため2点減点。

 今、OM-1はその外観の美しさや使いやすさ、小型軽量といった総合的な魅力からだと思いますが、非常に人気があります。きれいなのを買おうと思えば、1万円程度は必要です。いいカメラなのは間違いありませんが、現物を見て買わなければいけないカメラの代表格だと思います。そして、購入後、すぐに修理業者でオーバーホールをする必要があり、一台当たり約2万円かかっていることをお伝えします。購入金額に修理代を、必ずしもパフォーマンスが良いカメラだとは言い難いです。このカメラを買いたい方は、もちろん良いカメラではありますが、他にももっと魅力的なカメラがあるかも、と、ちょっと周りを見回してみることもお勧めします。また、オリンパスのレンズはニコンキヤノンの比べて流通量が少なく、価格もやや高めですので、特にレアレンズはびっくり価格です。

 

 オリンパスがこのカメラの後に発売したOM-2シリーズは、購入時はちゃんとシャッターが切れていたものの保証期間を過ぎてすぐにシャッターが切れなくなって、修理もできず、涙したことがあります。また、OM-4シリーズ、OM-3シリーズは、巻き上げレバーの感触がぎくしゃくしており、今までに2度入手するも手放し現在所有していないことを申し添えます。オリンパスで買うのなら、OM-1シリーズ一押しです。