フィルムで写真を撮ってみませんか。

「フィルムを使う写真に興味を持つ人を一人でも増やす」ことが目標の一個人の活動

カメラの話(個別第六回-2) オリンパスOM-1(第二世代)

 さて。

 今朝からは一段と冷え込み、いつの間にか紅葉も散り枝だけの木となっておりました。今年も紅葉を撮影することはおろか、見ることもなく終わってしまいました。

 

 当ブログで3番目にアクセス数の多いカメラは、オリンパスOM-1でございました。

film-camera-challenge.hatenablog.com

 当初は全くアクセスがありませんでした。オリンパス社専門にされていらっしゃるホームページ様が多いからでしょうか。

 昨年は随分と持ち出し、フィルムカメラで最も多く使ったカメラでした。小型軽量で凝縮感があり、とろんとした優しいシャッター音。さりげないけれども、撮っている満足感が得られます。しかし、今年になってからは、稼働率が下がっておりました。

 その最大の原因は、ファインダーの暗さとファインダー内情報の少なさ。ファインダーが暗く、ピントを外した写真が多いのです。レンズも小型のものを選んでいるので、21mmF3.5や135mmF3.5など、暗いものが多いことも原因なのでしょうが。

 ファインダー内情報は、オリンパスOMシステムの宿命として、絞り値がわからないのみならず、設定したシャッタースピードもわからず、あるのは露出計の針のみです。

 このカメラの向いている撮影方法は、三脚を立てて、しっかりとピントを合わせて撮るスタイルかもしれませんが、デジタルカメラでヒョイヒョイと感度をあげてブレないようにするのに慣れてしまうと、三脚を持ち運ぶことすら億劫になってしまっています。本当は、三脚にはブレを防止するだけではなく、構図を決める大事な効果があるのに。

 

 OM-1は、オリンパスOMシリーズで唯一のミラーアップ機能があります。これは、一眼レフカメラで撮影をする際に跳ね上がるように駆動するミラーを、あらかじめ上げておいて、その振動によるブレを防ぐ機能です。ミラーアップすると、ファインダーは真っ黒になり見えなくなります。主には超望遠撮影の天体写真や、拡大写真で使われるものです。

 今年ものこり1か月余りとなりましたが、一本、すべてOM-1ミラーアップで写真を撮ってみようかな、と思いました。

 

カメラの話(個別第七回-2) ペンタックスME-super(第三世代)

 さて。

 当方居住地では、ここ数日は暖かい小春日和が続いておりますが、来週からは11月らしく冷え込むようです。

 本日こそは紅葉撮影のラストチャンスとなりそうでしたが、残念ながら家庭の都合で子守となり、1日が終わりました・・・子供はまだ幼いので、小さなミラーレスカメラと着替えや飲み物、食べ物を持ち運ぶだけで手いっぱいで、今週末もまた、カメラを持ち出すことができませんでした。

 

 本ブログでの一番人気はニコンF4で前回、再度ご紹介いたしましたとおりでございますが、

film-camera-challenge.hatenablog.com

 二番人気もまた、意外な機種でございまして、ペンタックスME-superでございます。

film-camera-challenge.hatenablog.com

 

 小さくてかわいいカメラですよ。第四世代にはキヤノンEOS kiss等、ウエハースのように軽いカメラが登場し、さすがにそれよりかは重いとは思いますが、容積では最も小さい部類ではないでしょうか。

 MEにマニュアル露出と1/2000秒シャッターを搭載した発展版でありつつ、容積はごくわずかな増加にとどめた超小型軽量機種ではありますが、そもそも、絞り優先オート専用機であるMEに、無理やりマニュアル露出機能を組み込むためのアップ/ダウンボタンを搭載したため、その操作性は言わずもがな・・・・劣悪。それでも、マニュアル露出が「できる」ことは間違いないし、1/1000秒と1/2000では、絞りを1段開くこともできるし、損することではありません。ただし、真鍮製外装のMEに比べ、プラスチックぽくないとはいえプラスチック外装のME-super。悩むところですね。

 欠点は、前回も申し上げました通り、「絞り優先オートほぼ専用機種のくせに、絞り込みボタン(プレビューボタン)がないとはいかがなことか」。これに尽きます。加えて、やはり70年代のカメラですから、ファインダーは暗くザラザラしております。ニコンF3やF4、ナチュラルブライトマットを搭載したLXとは、ファインダーの見やすさはレベルが異なり、残念です。同じく小型軽量で70年代のオリンパスOM-1といい勝負でしょうか。絞り込みボタンがないので、M42マウントレンズの小型軽量母艦としての使用がメインですが、絞り込むとどうせでも暗いフィアンダーがさらに暗くなり、写欲が失われます。

 このカメラに、多くのことを求めてはいけないようです。小さくて軽いことが最大の利点であるこのカメラは、休日に、このカメラに小型のレンズ、例えば、50mmF1.7やF2クラスをつけて首から下げ、ポケットには交換フィルムを1本だけを突っ込んで、駅と駅との間をゆっくりとお散歩する、というスタイルがベストではないかと思っています。

カメラの話(個別第八回-2) ニコンF4、F4S(第四世代)

 さて。

 秋の過ごしやすい季節の休日は、ほとんどが家族サービスで消え行き、随分と寒くなってきました。先日来風邪をこじらし、鼻水、くしゃみ、咳と格闘し、すっかりと更新の間隔があいてしまいました。

 それに加えて、前回、「当ブログでアクセス解析にて人気のカメラの追記をする」としたものの、大好きではあるけれども、家族サービスとは相反するカメラがぶっちぎりの一番人気でして、なかなか持ち出して再度感触を確かめることもままならず、ということも、間隔があいてしまった言い訳になります

film-camera-challenge.hatenablog.com

 

 当ブログで、最もアクセス回数の多いカメラは、このカメラでした。

film-camera-challenge.hatenablog.com

 

 私の感触では、「なぜ!?」というのが妥当なところです。確かに、良いカメラです。私自身も強い思い入れがあります。ニコン第4番目のフラッグシップ機です。間違いなく良いカメラです。

(私の思い入れ)

film-camera-challenge.hatenablog.com

 

 有名機種ゆえに、いーーーーーっぱい情報もあり、すでに語りつくされているものですし、ニコンフラッグシップ機では、たぶん、最も不人気でしょうから、欲しい人はすでに持っているだろうし、欲しくない人は全く興味もないだろうし、なぜにこの記事のアクセス数が、第二位のものに比べてダブルスコアとなるのかはよくわかりません。いや、間違いなく、非常に良いカメラですよ。前回も、「使うと必ず満足が得られる、非常に優秀な逸品であると認めます。今こそ、ニコンF4が再評価されてしかるべき時期と思います。」と締めくくっておりますし。

 しかし、やはり、重いことは否めません。私所有のレンズは大半がAi-sニッコールレンズで、最近の機能満載レンズと比べると小ぶりで軽量ですが、本体の大きさ重さは、例えば、先代のニコンF3とは各段に増加しております。

 それでも、まず、フィルムを入れるときに裏蓋を閉める感触は、軽自動車ではなく、レク〇スに乗ってドアーを閉めた時のように、節度のある音と品質を感じることができ、シャッターボタンを押してフィルムカウンターが「1」を示したときには、これから、「36ショットを撮るのだ」という緊張感を与えてくれます。そして、撮り始めると重さは気にならず、明るくピントの山が見えやすいファインダーと心地よいシャッター音と感触に酔いしれます。フィルムを撮りきると、ニコンF4ならでは(F5、F6も)の、「フィルムを手巻きクランクで巻き戻すか、電動で巻き戻すか」を悩む時間となります。私は、手巻きクランクで巻き戻すことがほとんどですが、これもまたスムーズで非常に心地よいです。

 フィルムを撮り切り、現像に出し、ゆっくりと温泉につかったときに、機材が重かったことを左の肩と両腕、右手に感じます。左の方はショルダーバックの肩掛けひもがこすれて赤くなっています。両腕は特にひじから先が、じわりと熱を持っていることに気が付きます。右手は、私の手が小ぶりなこともありますが、グリップが大きいため、握力を要していたことがわかります。

 

 それでも、このカメラを持ち出したことを後悔することはありません。

 

 ただ一点、ごく最近知った残念なことがありました。

 私はニコンD750というデジタルカメラもまた使用しておりますが、その標準レンズとしてタムロン35mmF1.8を、中望遠兼マクロレンズとしてタムロン90mmF2.8を入手しました。非常に優秀なレンズで、お散歩程度であれば、35mm一本だけをくっつけて持っていくことがほとんどです。

www.tamron.jp

www.tamron.jp

 ニコンF4での使用では、まず、このレンズ達には絞りリングがないので絞り優先オートやマニュアル露出ができず、プログラムオートやシャッタースピード優先オートでしか使用できないことは承知の上。また、手振れ補正機能にも対応していないことから、この機能が使用できないことも承知の上。

 それでも、フィルムカメラで撮影してみたい!と思ったので、ニコンF4に取り付けてみました。

 露出制御は可能なようです。しかし、残念ながら、オートフォーカスは作動しません。マニュアルフォーカスで、プログラムオートであれば使用することができますが、マニュアルフォーカスの感触が微妙なので、この組み合わせで私が使うことはないでしょう。

 

 現実問題、ニコンF4とニコンデジタルカメラD750を同時に持って行き使用することはないとは思いますが、互換性のFマウントとはいえ、サードパーティー製レンズを使う上では、注意が必要と感じました。

 

(念のため)

 唯一所有しているニコン純正オートフォーカスレンズ「AF-S nikkor 24-120F4GEDVR」では、手振れ補正機能以外は使用できることは確認済みです。

www.nikon-image.com

 

 

 

1周年

 さて。

 いつの間にか、オープンから1年が経っておりました。

 記事の数は57個、ご来場者様は合計27,000人を超え、私自身といたしましては、いまだに、意外と、フィルムにご興味を持たれている方がいらっしゃることに驚きと、喜びを感じております。 

 また、その中に数名の方からはコメントをいただき、誠にありがとうございます。さらには、そのコメントを頂いた方の中には、海外の方がいらっしゃることも驚きでございました。

 

 この1年間の間に、私の所有している機種別の簡単なご紹介(イントロダクション)を行い、また、そののちに私のフィルムカメラへのこだわりについて、一方的に記載していたところでございますが、アクセスの傾向を見ております限り、後者には興味をお示しいただく方は少ないこと、これまでの遍歴であり、これからのことでは書くことが非常に限られること、お試しでレンズについての記事をあげてみたものの、デジタルカメラなしには作例をアップすることは困難で、それはまた、このブログの趣旨とは相反してしまうことを鑑み、今後の方向性(当面)については、以下のとおりりとしたいと思っております。

 

 カメラの話(個別〇回)・・・・・(第▽世代)で記載したもののうち、アクセス数の多いものについて、より深く、お話ししていく。

 

 アクセス解析では、このカメラが!?と思うものに、多くのアクセスをいただいております。それは、他者様のブログで紹介されていないマイナーなものだから、というわけでもなく、めちゃくちゃ人気があり、皆様が未だにお求めになっていると思えるものでもないカメラでございます。

 それらを一つずつ、「カメラの話(個別〇回-×)・・・・・(第▽世代)」として、深めていったものを記載することで、皆様により興味を持っていただき、ご入手につなげ、ひいてはフィルムの消費拡大(消費減少への歯止め)となることを目的といたします。

 

 今後も、合間々々を見て、少しずつでも記事掲載を続けていきたいと思っておりますので、ご興味をお持ちいただき、また、「フィルムっていいのかもしれない」と感じていただける一助としていただけますよう、心よりお願い申し上げます。

カメラの話(コラム第三回-15)カメラと、私。(私の使命とは)

 さて。

 ようやく、最終回まで辿り着くことができました。

 

 結論から申し上げますと、私の使命とは、「フィルムを使い続けること」ということにつきます。その理由は、大別して以下の3つがあります。

1.昔のレンズの適正な評価のため。

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2.情報の保存のため。

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3.そもそも、フィルムカメラが好きだから。

 

 先日、ニコンキヤノン両社から、マウントの変更を伴うフルサイズミラーレス一眼が発表(ニコンはすでに発売)されました。雑誌等の見込みでは、今後はミラーレスに徐々に主軸が動いていくのではないかとの予想のようです。

 ますます、一眼レフすらなくなると、筒状のアダプターを経由することとなり、1.の昔のレンズの適正な評価はなされなくなります。

 また、いずれも私が現在使用しているカメラですが、ニコンFと、ニコンD750だと、最終的に、永く使用に耐えうるものは、ニコンFではないかと思っております。そのためには、フィルムがあること、フィルムの現像が可能であること、カメラのメンテナンスができる技師さんがいること、が条件となりますが。

 

 当然ながら、デジタルカメラにはフィルムカメラにはない大きな利点が数多くあります。

1.低照度での撮影はフィルムよりはるかに優位である。

2.運動会ではフィルムの交換が不要で、電池が持つ限りあるいは記録カードがいっぱいになるまで撮影ができる。

3.空港での荷物確認で通されるX線透し機によりフィルムが感光しないか心配しなくても良い。

4.モニター上で手軽に大きく拡大して確認できる。

5.画像をすぐに共有したりデータを渡すことができる。

6.ランニングコストが安い。

7.銀、薬品を使わないので環境にやさしい。

8.日進月歩で進化している。

 

 これからも、フィルムを使用するカメラを使い続けることは、懐古主義なのかもしれません。しかし、フィルムでしか撮れない絵があることもまた事実なのです。

 これから、姻戚のお祝い事に御呼ばれしていますので、撮影のために出かけます。イベント中の写真は、ニコンD750とタムロンSP35mmF1.8を主要な機材として用いるつもりではございますが、集合写真だけは、フジGS690Ⅲで撮影します。

 

 フィルムで写真を撮ったことがない方へ。

 一度、フィルムカメラを手にして、フィルムで写真を撮ってみませんか。

 

 以前フィルムで写真を撮っていたが、近年撮ったことがない方へ。

 もう一度、フィルムカメラを手にして、フィルムで写真を撮ってみませんか。

 

 もしかしたら、デジタルカメラスマートフォンでは得られなかった「何か」が見つかるかもしれませんよ。

 そして、それを見つける機会は、今回を逃すと、もう、永遠に来ないかもしれませんよ。

カメラの話(コラム第三回-14)カメラと、私。(データに対する不安)

 さて。

 

 オールドレンズをミラーレス一眼で撮影し、どうにもその描写性に納得できていなかった原因の一員は、アダプターではないかとの推測に至り、その画像をもってそのレンズの性能と判断されることに、オールドレンズはもちろん、当時の開発者様、生産者様ははさぞ不本意に思われているだろうことに気づき、これは、正しく本来の使い方であるフィルムカメラを使うべきだと気づいたところでしたが、それに加えて、フィルムでなければと思える出来事が二つありました。

 

 一つ目は、東日本大震災です。仕事上のことなので詳細は書けませんが、短期間ながら宮城県のとある市に派遣されておりました。その仕事の内容は書類上のものばかりでしたが、現地で流れるニュースと、当方所在地で流れるニュースは異なるものだと初めて知りました。

 その中で、津波に流されて泥だらけの写真を洗うボランティアの方がいる、と。

 さて、デジタルカメラで撮影し、そのデータを一部でもプリントしている人がどれくらいいるのでしょうか。そのプリントも、家庭の水性インクを使用したプリンターでの出力がほとんどなのではないでしょうか。

 私は、デジタルカメラを購入、使用し始めてから、外付けハードディスクドライブに書き込んでおります。常に2台体制にしておりますが、容量不足以外の、書き込み、読み込み不良により廃棄したハードディスクドライブは3機になります。

 水没したら、それも、泥水に使ったら、塩水に使ったら、まず、データの復旧は不可能でしょう。しかし、デジタルカメラで撮影した画像は、容易にディスプレイ上に表示されるため、印刷もしておりません。となると、その情報は、すべて失われることになります。

 

 二つ目は、子ども関係です。我が家には保育園児がおりますが、その同級生の父親が、子どもの誕生の時の映像DVDが読み取れなくなった、自身が幼い時のビデオテープは見れるのに、と、嘆いておりました。

 ディスクは、その保存の状態により容易に読めなくなることは、安物のCD-Rに音楽を書き込み、車の中に置いているとあっという間に読めなくなるということで何度も経験済みではありましたが、CDでもDVDでも、おそらくブルーレイでも同じなのでしょうね。

 

 ある写真について、写真家さんが「容易にボタン一つで消せるデータが、自分の作品だと言えるのか」という内容を述べてらっしゃいました。

 一枚一枚、丁寧に撮影した、化学反応の結果であるフィルム写真が、今でも輝いている芸術の一つであること、芸術とまで言えないものでも、大切な記録であること、そして、その記録の本来の目的である保存する能力は、デジタルを凌ぐものであることに気づきました。

カメラの話(コラム第三回-13)カメラと、私。(気づいた真実)

 さて。

 私が長年探し求めており、10年以上の年月を経てようやく手に入れたものとは。

 

 一時期、ペンタックス製135判一眼レフカメラペンタックス67を併用していた時期があり、その時に、中判レンズのしっとりとした描写に魅せられておりました。その後、体力不足からペンタックス67は手放し、主体の中判カメラをゼンザブロニカS2に、主体の135判カメラはニコンとしていたところ、夢の製品が販売されておりました。

 それは、オールドブロニカのレンズを、ニコンFマウントカメラに装着するためのアダプターでした。

 当時、私はまだ大学生。そして、そのアダプターは6,7万円程度はする高価なものでした。買うか買わないか、悩んでいるうちに、売り切れとなり、買えなくなりました。

 オークションサイトで探すも、そんなコアなファンしか使わないもの、なかなか出てくることはなくただ1度出品されているのを確認するも、大幅に予算オーバーで買えませんでした。

 

 そして、一昨年。

 なんと、このアダプターと同等品が、海外で販売されていることを発見し、つたない英語で、アメリカのアマゾンから購入することができました。

 

 購入後、直ちに、ニコンD750で試写に向かいました。レンズは3本、50mmF3.5、75mmF2.8(ノーマルモノコート)、75mmF2.8DXタイプでした。目的は、75mm二本の比較でした。一般的に、オールドブロニカニッコール標準レンズを比べると、ノーマルレンズのほうが中心部の先鋭度は高い、DXタイプのほうが周辺部の画質に優れる、という評価があります。では、中心部のみ使用する135判ではノーマルタイプのほうが適任なのか、を検証することでした。

 まず、ノーマルレンズで撮影するも、どうにもフレアが出て、先鋭度が低いのです。コーティングのせいかと思い、ド順光で撮影するも、予期せぬフレアが出ます。それも、ファインダー内で確認できるものよりも、はるかにひどいものが。

 DXタイプに交換しても、そのフレアの色が白からやや紫がかったものになるだけで、その酷さは目を覆うものでした。

 おかしいな。長年、ゼンザブロニカS2で撮影するも、逆光でフレアっぽくなった記憶はほぼない。少なくとも、こんなにひどいフレアに悩んだことは、一度もない。

 後日、ブローニフィルムを購入、ゼンザブロニカS2で同様の条件で撮影して、やはり、逆光に弱くない(最新のものと比較すると当然弱いのだろうが)ことを確認。

 では、135判フィルムカメラではいかがかと思い、ニコンF3を引っ張り出して撮影。結果は、D750ほどではないものの、かなりフレアっぽく、使い物になるものではありませんでした。

 検証の結果は、フレアっぽさは、

D750>F3>>>>>>>>>>>>>>>ゼンザブロニカS2(ほぼないに等しい)

 

 これら3機種で異なる条件には、以下のものがあります。

1.デジタルかフィルムか。

2.135判フォーマットか6×6フォーマットか。

3.アダプターを使用しているか否か。

 

 D750とF3は、完全に同一の条件ではないこと、ほぼ同様のフレアが発生していることから、デジタルかフィルムかは大きな差ではないと思われました。

 フォーマットの異なりは、135判フォーマットでの撮影はレンズの優秀な中心部分を使用するという有利な条件となることから、フレアが発生する要因とは考えにくいと思われました。

 

 となると。そう。この画質低下の根源は、アダプターでした。

 F3に装着し、裏蓋をあけて除くと、アダプターの内側やマウント部分がピッカピカに輝いておりました。ファインダーで確認できる以上のフレアが発生したのは、おそらく、ミラーボックス内でさらに反射したのでしょう。

 

 α7にオールドレンズを装着して撮影すると、どうにもフレアっぽくなるなぁ、と感じていたのは、もしかしたら、アダプターのせいだったのかもしれない。

 そう思い、持っているアダプターを片っ端から覗いてみると、どれもこれも、内面反射がひどくありました。私が有するアダプターは、安価なものも、それなりの金額のものも含まれますが、どれも、盛大に、内面反射が起こっておりました。

 

 そもそも、オールドレンズには、最新式のレンズと比べると多くのハンディキャップがございます。

1.製造から年月が経ち、経年劣化が起きていること。

2.前所有者がいる場合には、使用実態がわからず、所有者次第では機構的にくたびれていたり、カビが発生した経緯があること。

3.無用な改造や、不十分な精度の修理が行われていること。

4.レンズ設計技術やコーティング技術が洗練されていないこと。

5.そもそもの使用が想定されないデジタルカメラに、アダプターを介して装着され使用されること。

 

 1~4の悪条件を跳ね返すには、ニコンのAi-sレンズの現行品を、新品で購入するしかありません。しかし、これらのレンズは1980年代初期に販売開始されたもので、それよりも古いものはありません。

 オールドレンズを所有している方で、直ちに改善できることは、5.の、本来の使用すべきカメラに装着し使用すること。少なくとも、私の検証では、最も大きな画質悪化要因は、アダプターにありました。

 オールドレンズにとって、デジタルカメラにアダプターで装着され、ユーザーから、「フレアっぽいなあ、ピントが甘いなあ、緩いなあ、でも、この緩さがいいんだよなあ」と思われるのは、極めて不本意なことであると思います。なぜならば、それは、オールドレンズのポテンシャルをスポイルしたものなのですから。