フィルムで写真を撮ってみませんか。

「フィルムを使う写真に興味を持つ人を一人でも増やす」ことが目標の一個人の活動

カメラの話 その8

 さて。

 

 今日の出来事。お昼休み、いつもの定食屋がさほど混んでいなかったこともあり、早々に昼食を食べ終わったので少し散歩をしました。散歩コースには、中古カメラを扱う昔ながらの街のカメラ屋さんがあります。

 昔は値切ったり、ストラップをおまけにもらったりと色々やりあっておりましたが、店員さんも私も、それから一昔以上の月日がたっております。

 先月、気まぐれに行ったときには、ミノルタの輸出専用レンズMC rokkor50mmF1.9があり、絞りに粘着きがあるものの、フィルター径52mmのミノルタはレア物だと確信し、買ってしまいました。

 今日、覗いてみると、おお、格好いいのがあるじゃん。コンタックスRTS初代機でした。外見はピカピカ。売価は消費税込みで樋口さんを少し下回る。しかし、店員さんの姿はない。そして、時間は昼休み終了の15分前。職場までは早歩きで8分といったところか。

 少し待つか、いや、店員さんが戻ってきても精査する時間はなかろう。さらに、私はコンタックスへの造詣は深くない。RTSとRTS2の違いもよくわからないし、弱点も知らない。ここは、定時まで働き、定時になってもまだ姿を思い出すことができるほどの心残りがあれば、終業後すぐに再訪しよう・・・

 

 定時になって、いそいそと、たぶん、周りからすれば不審者のように、退社し、急いでお店に向かいましたが、RTSの姿はなく、すでに売れていったとのことでした。

 カメラは大好きであり、国産メーカーは一通り使った、と言いたいところではあるもののコンタックスだけは縁がなく、所有したことはありません。今回こそはと思ったものの、またしても、フラれました。

 中古カメラは一期一会。欲しいと思った時が買い時です。

カメラの話(個別第五回) ミノルタX-500(第三世代)

 さて。

 

 今回も第三世代のカメラとなってしまいました。私の超一押しカメラのミノルタX-500です。

film-camera-challenge.hatenablog.com

 ミノルタは、第四世代になる際に、マウントを変更したメーカーです。なので、マニュアルフォーカスレンズは、オートフォーカスカメラに使用することができません。その、マウント変更の直前に発売されたのが、ミノルタ第三世代のXシリーズでした。その中でもかなり後発だったのが、このX-500です。まずは外観から。

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 外装はプラスチック素材ではありますが、それなりに風格はあります。最近のプラスチック外装のデジタルカメラや第四世代のオートフォーカスカメラのうち、「プラスチックだよーん」というような処理ではなく、あたかも金属素材化のように見せる努力をしている、といったところでしょうか。

 同時代に発売され、21世紀目前まで販売されていたX-500の上位機種であるX-700とは非常に似通った外観をしております。このX-700も素晴らしいカメラと評価の高いカメラです。これらのカメラの褒めちぎりと、比較とをしていきましょう。

〇X-500とX-700の共通点

・ファインダーが大きく、明るく、ピントもはっきり見える極上品である。

・小型軽量である。

・布幕横走りシャッターの音が優しく心地よい。

ミラーショックが少ない。

・持病を聞かない。

・一回の飲み会代よりも安い。

・価格比では、質感は高い。

 さすがは、最終世代のミノルタマニュアル機です。私は初めにX-700を購入し、その後、X-500の存在を知って買い足し、X-700は写真を始めたいといってきた後輩に譲渡してしまいました。なぜ、X-700を手放し、X-500を手元に残したのでしょうか。比較してみましょう。

〇X-700が優れていると思われる点

・販売期間が長いため中古数が非常に多い。(X-500は販売期間が2年ほどで、流通量が少ない。)

・初期タイプではシルバーボティーがある。(X-500は輸出仕様でのみシルバーがあり、めったに見る機会がない。)

・絞り優先オート露出、マニュアル露出に加えてプログラムオート露出(MDレンズ、NMDレンズのみ可能)がある。(X-500は絞り優先オートとマニュアル露出のみ)

・瞬間絞り込み測光が可能なので、かなり古いレンズや絞り羽根にネバリが出てしまったレンズでも絞り優先オートで撮影できる。(X-500には瞬間絞り込み測光の機能はない。)

・露出補正が可能である。(X-500には露出補正ダイヤルがない。)

〇X-500が優れていると思われる点

・レア物感がある、割に、とっても安い。

・スローシンクロ(シャッターを長時間露光にしてストロボを発光させ、軌跡を写す機能)が可能である。(X-700は基盤改造を受けたもののみ可能だが、外見ではわからない。)

マニュアル露出時に、適正なシャッタースピードが点灯表示され、設定したシャッタースピードが点滅表示される。(X-700では適正なシャッタースピードのみが点灯表示される)

・シャッター音がパリッと歯切れがよい。(X-700はプログラムオートはパリッとした音だが、絞り優先オートとマニュアル露出時はクシュッとしたつぶれるような音で、私の好みではない。)

 

 あまり大きな差はないのですが、マニュアル露出をしたいなと思った時のX-500の露出計表示の便利さは圧倒的です。また、プログラムオートで撮影する機会は、おそらく、ほぼないでしょうし、1960年代のレンズを使う機会もそうないでしょうし、露出補正ができなくてもマニュアル露出で便利に撮影できるし、と思うと、小さな差の積み重ねで、X-500の評価が高くなりました。

 何はともあれ、X-700もX-500も、超極上のファインダーです。すでに紹介し、非常にファインダー性能が高いと評価したペンタックスLX(それも、2000年発売のナチュラルブライトマットを装着したもの)よりも、明るさ、ピントの山ともに、優れていると思っております。このファインダーを試すためだけにも、このカメラを所有、使用する価値は大いにあります。レンズをセットで買っても、ニコンF3やペンタックスLXのボディーのみよりも安いでしょうし。

 

 写真を撮る原点は、被写体をよく見ること。撮る写真を想像するには、見えやすいファインダーは必要必須で当然の能力です。ファインダーを見ることを大切にしたいあなたには、一押しのカメラです。

 

 レア物のX-500シルバーモデルはこちら。

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 シルバーの軽快感もまた、たまりません。レア物であるが故、大手オークションで競り合ってしまい、落札額は5千円に達しました。通常の黒ボディーの2倍額位でしょうか。

 装着しているレンズもまた、輸出専用のNMD50mmF2になります。黒ボディーと銀ボディーとの些細な違いですが、巻き上げレバーの形状が異なります。私の記憶では、X-700は銀ボディーとおなじ巻き上げレバーの形でした。

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 ミノルタX-500をまとめますと、このようになりました。

 

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携帯性は、小型軽量ではあるものの、さらに小さいものがあるため1点減点。

デザインは、ザ、マニュアルカメラの形をしており、可もなく不可もないことから1点減点。

質感は、プラスチック製ということがぱっと見でわかるため、2点減点。

操作感は、巻き上げ、シャッターの感触共に悪くはないが、さらに上のものがあるため1点減点。

ファインダーは、明るく、倍率も高く、文句なしの満点。

入手のしやすさは、2年程度しか販売されなかったことから数は少ないが、あれば飲み会代よりも安いため、2点減点。

堅牢・修理は、l壊れているものを見かけないので結構頑丈と思われるが、電気系統の修理は絶望的なので2点減点。

システム力は、ミノルタオートフォーカス系統のレンズとは互換性がなく、拡張性も乏しいため2点減点。しかし、ミノルタマニュアルフォーカスレンズは安くて良いものがいっぱいあるので、一押しです。

 

 最大の弱みは、壊れると修理は絶望的なこと。だからこそ、積極的に使って壊れてしまったら買い替える、というスタイルで、私はこのカメラと接しています。壊れても、壊れても、壊れても、私はこのカメラを買いなおして使い続けます。そのうち、X-700になるかもしれませんが。X-700ならかなりの数が中古市場にありますからね。

(追記)

 また、修理が可能なカメラということになりますと、ミノルタであれば第二世代(機械式一眼レフカメラ)のSRT-superがお勧めです。

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カメラの話(個別第四回) ペンタックスLX(第三世代)

 さて。

 

 今回は、個別第一回でご紹介いたしました、ニコンF3(以下、F3と省略)と同時期デビューの素晴らしいカメラ、ペンタックスLXについてお話ししましょう。

(参考)

film-camera-challenge.hatenablog.com

 1980年に、一眼レフカメラの老舗である旭光学が威信をかけて完成させた、プロ用機種です。まずは、外観から。

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 私の所有するLXは、前期型のノーマルなものに、グリップB(ストラップ装着金具取り付け済)を取り付けただけの、オーソドックスなものです。ファインダー(頭)部分は交換可能で、FA-2というトンガリ頭のものも持っていますが、ファインダー内で設定絞り値の確認ができなくなり不便なので、仕舞ったままになっております。くっついているレンズはマニュアルフォーカスの50mmF1.2、大口径レンズです。LXはF3と比べて小型軽量であるため、F1.2レンズだとレンズのほうが重すぎてややバランスが悪いのですが、私がLXを入手した時に新品で購入できたマニュアルフォーカスレンズの標準レンズはこのレンズだけでしたので、清水の舞台から飛び降りるつもりで購入しました。総金属製でズシリと重く、各部の動きは滑らかで、高級品として申し分ない触感です。

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 レイアウトは非常にオーソドックスなものです。左側に巻き戻しクランク、フィルム感度設定ダイヤルと露出補正ダイヤル、ファインダーすぐ横のボタンは露出計スイッチと露出補正ダイヤルのロックを兼ねています。なお、このボタンを押しながらボタン基部のレバーをファインダー側に動かすと、ファインダーが手前側にスライドしながら外れます。右側は巻き上げレバー、シャッターボタン(ロック付き)、シャッタースピード設定ダイヤル。シャッタースピード設定ダイヤルの「AUTOMATIC」の横にあるボタンは、絞り優先オートモードとなる「AUTOMATIC」時にのみシャッタースピード設定ダイヤルがロックされ、その解除ボタンとなります。非常に、標準的なレイアウトですが、普通じゃないのがこのカメラの形。真上から見ると、前側が少し窄まった台形になっていて、これが、手で包み込むのにものすごく心地よい形なのです。

 

 F3と比べてみましょう。

 

〇LXとF3の共通点

・ファインダーが交換式で、多種類が用意されていた。

・ファインダースクリーンも交換式で、多種類が用意されていた。

・自動巻き上げ装置をはじめ、多種のオプション装備品が用意されていた。

マニュアル露出と絞り優先オートが可能である。

・露出を測る方法は、ミラー中央部が半透過性となっており、似た構造である。

・横走りチタン幕シャッターである。

・巻き上げを小刻みに分けることが可能(分割巻き上げ)である。

・電源はLR44ボタン電池×2個である。

 

〇LXが優れていると思われる点

マニュアル露出では、高速側シャッター(X=1/75秒以上)、バルブは機械式シャッターであり、電池が切れても撮影できる。F3は緊急非常シャッター(1/60)とタイム露出のみが機械式シャッターである。

・防塵・防滴構造である。

・小型軽量である。

・シャッターダイヤルの数字が浮き彫り型となっており、真っ暗な中でも手探りで扱うことができる(人がいる)。

・露出計が、わかりやすい。

・ファインダー倍率が0.9倍であり、かなり大きく像が見える。F3はノーマルで0.8倍、多数流通しているHPファインダーは0.75倍である。

・普通にストロボが使える。F3に汎用のストロボを使うときは、巻き上げレバー部にアダプターをつける必要があり、巻き戻し時及びフィルム交換時には一度取り外す必要がある。

・絞り優先露出の時、撮影する瞬間の光の量を測る「ダイレクト測光」であるため、絞りに異常があるレンズでも適正露出で撮影できる。F3にはこの機能はない。

 

〇F3が優れていると思われる点

・F3本体もであるが、レンズ、オプション品の流通量がLXよりもずっと多い。

・ファインダーが明るくピントが見えやすい。ただし、LXのファインダースクリーンを2000年に発売されたナチュラルブライトマットに変更すると、ほぼ同等と思われる。

・ファインダー視野率が100%であり厳密なフレーミングが可能である。LXは98%で、ファインダーで見えている+周囲2%がフィルムに写しこまれる。

・巻き上げレバーの軽さ。LXの巻き上げはしっかり感があり、かつ引っ掛かりやトルクの変化は少ないが、F3の極上さが上回る。

・チタン外装バージョンが一般的に売られていた。LXは限定販売であり、今もきれいなものがオークションや店舗に出てくると、すっごく高くて手が出ない。

・絞り優先露出時に、露出固定ボタン(AEロックボタン)があり、露出補正以外の露出制御の手法が取れる。

・右手側にグリップがあり、保持感が良い。LXはオプションのグリップがないと手が余るし、これから所有するのにあたり、グリップの流通量は非常に少なく手に入れにくい(高価)と思われる。

・ストラップがねじれない。LXはストラップの取り外しが可能な金具があり、その部分でクルクルとストラップがねじれ、扱いにくく感じることがある。

 

〇結論

 引き分け。

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 間違いなく、どちらも非常に優秀で、格好いいカメラです。どちらのカメラを購入、入手しても、後悔することはないでしょう。

 そういえば、私がこのカメラを入手したのは2001年だったかと思いますが、その時、ミラーの上りが緩慢でオーバーホールをしました。ダンパーの異常ということでしたが、修理費+オーバーホール費で7万円近くかかり、びっくりしました。その直前にオーバーホール(修理なし)したF3は3万円でおつりがありましたから。流通量やメンテナンス性を考えたら、F3のほうが無難ですね。

 

 ペンタックスLXをまとめますとこのようになりました。

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携帯性は、コンパクトではあるものの、やや横長のため1点減点。

デザインは、ノーマルファインダーをFA-1をつけても、トンガリフィアンダーFA-2を付けても最高に格好良く、満点。ファインダー前面とエプロン部が面一になるのが格好いいです。

質感は、ちょっと塗装が弱いのか、さほど使っていないにもかかわらず結構ハゲハゲになっているので1点減点。

操作感は、巻き上げレバーにやや引っ掛かりがあることと、ミラーが戻るときにバタ付きが微妙に感じられるので1点減点。

ファインダーは、明るく、倍率も高く、文句なしの満点。

入手のしやすさは、販売時にあまり売れなかったことと、持っている人が手放さないためか、調子のよい個体が少ないため、2点減点。

堅牢・修理は、プロ用機で防塵・防滴をうたっているため、堅牢ではあるものの、特殊性が強く、修理困難となっていることから1点減点。

システム力は、レンズの流通は多いものの、LXのパーツ、例えば、ナチュラルブライトマットのスクリーンやグリップは流通が少なく、また、定価の数倍っていうこともザラなので、1点減点。

 

 LXは流通量が少なく、程度の良いものを入手するのが難しくなってきていますが、LXの雰囲気もぜひ味わっていただきたいと思います。なお、ニコンペンタックスともに、最新のデジタル一眼レフでも同一のマウントを採用しておりますので、レンズの互換性はありますが、どちらのメーカーも、最近発売のレンズからは絞りリングがなくなり、最小絞り値に固定しているのを電子制御するようなシステムになっておりますので、最新レンズをF3やLXに装着は可能なものの、最小絞り値でしか撮影できない(使い物にならない)ので、マニュアルフォーカスのレンズも一緒に入手されることをお勧めします。

カメラの話(個別第三回) ニコンF80D(第四世代)

 さて。

 

 今回は、フィルムカメラの集大成ともいえる第四世代のカメラです。

film-camera-challenge.hatenablog.com

 ニコンのホームページにまだ掲載がありました、F80Dです。2000年発売、2006年に販売終了の、デジタルカメラの普及に伴い、廃版となったようなカメラですね。

www.nikon-image.com

 

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 露出もピントもフルオートにできる、お手軽一眼レフカメラではありますが、残念ながら我が家にはお手軽なオートフォーカスレンズがないため、薄型マニュアルフォーカスをくっつけております。ニコンカメラによくある、外装のゴム部分にべたつきがあり、グリップ部は白く変色しておりますが、中身は正常に作動しております。

 カメラ本体は、驚きの、500円(税抜き)。

 

 ニコンの中ではミドルクラスとして販売されていたカメラが、ワンコインで買えちゃったわけです。ジャンク品として売られていたのがたまたま幸運にも正常作動した、とも言えなくもないのですが、事実、ワンコインだったのです。

 このカメラは、ピントを合わせられるポイントが5つあること、手振れ補正レンズで手振れ補正機能が作動すること(ニコンの古いオートフォーカスカメラでは手振れ補正機能が作動しない)、ペンタプリズムが使用され明るいファインダーであり、マニュアルフォーカスででもピント合わせが可能であること、小型軽量であること、内蔵ストロボがあること、などなど、非常に優秀なカメラだと思っております。

 物足りないのは、マニュアルフォーカスレンズのうち、CPUを搭載していないもの(つまりはほとんど)で、オートフォーカス機能が使えないのはもちろん、露出計も動かないこと。連写速度が2.5コマ/秒と遅いため、シャッターを切った後、像が確認できるのが遅いこと、くらいでしょうか。概して、非常によくできたカメラといって差し支えないでしょう。

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 操作系も現行のニコンデジタル一眼レフカメラの中級機と類似なのでわかりやすく、すでに操作系が完成していたことを表しています。なお、裏蓋部の違いで、フィルムのコマとコマの間にデータを記入できる、「F80S」という機種があります(本機はオーソドックスなF80Dです)。私はフィルム内に日付を印字することをいたしませんので裏蓋液晶は------の表示になっていますが、もちろん、日付を写しこむことも可能です。

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 裏蓋を開けると、フィルムのガイドレールが金属であることがわかります。ニコンのライバル会社であるキヤノンの中級機以下はプラスチックのままなので、銀色に輝くレールはありません。フィルムが直接触れる部分であり、摩耗するとピントがずれる恐れがあるため、ガイドレールが金属なのは安心要素となります。フィルムの感度設定、フィルムの装填、フィルムの巻き戻し、すべてオートですので、非常に簡単で失敗する可能性もほぼありません。

 

 

 ニコンF80Sをまとめますと、このようになりました。

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携帯性は、軽いもののグリップ部が大きく意外とかさばるので2点減点。

デザインは、オーソドックスなため、良とも悪とも言えず、2点減点。

質感は、プラスチックの安っぽさがあり、また、外装ゴムが劣化してべたべたした個体や白っぽくなった個体がほとんどなので3点減点。

操作感は、連写速度が遅く、ミラーの動きが緩慢で音の歯切れも悪いので3点減点。

ファインダーは、暗い上にピントが見えにくく、本当にペンタプリズム乗っているの?という感じなので3点減点。

入手のしやすさは、500円で完全動作品が購入できたので満点。

堅牢・修理は、見るからに軟弱そうで、ぶつけると壊れそうであり、また、すでに修理不能とのことなので3点減点。でも、意外と壊れているものを見かけないのは、あまり売れなかったからか??システム力は、ニコンマニュアルフォーカスレンズが装着できるも露出計が動かず使いづらいことから、実質使うことは困難と思い、2点減点。しかし、手振れ補正レンズが機能するのは魅力的なのです。

 デジタル一眼レフカメラと比べ、軽量で薄型、自動化の程度も差異は少なく、非常に扱いやすく、また、とっつきやすい、フレンドリーなカメラなうえにリーズナブル。こんなカメラを見逃す手はありませんね。オートフォーカスのレンズであっても、特に初期の、ズームレンズであれば、あまり人気がないので、ワンコインで購入することは不可能ではありません。となると、カメラ、レンズ合わせてランチ程度で入手、使用できます。このカメラの使用する電池はCR123Aという使い切りリチウム電池×2本なので、電池代のほうが高いかもしれません。

 

 まったくフィルムカメラを使ったことがない、ということであれば、まずはフルオートでの撮影が可能なこのようなカメラからフィルムカメラ生活をスタートしてみてもよいのではないでしょうか。このF80Dには、よくあるトラブルの情報もないので、いいものと巡り合うことさえできれば、長い間連れ添うこともできると思いますよ。

カメラの話(番外その2)ローライ35S(非一眼レフカメラ) 

 さて。

 

 一眼レフカメラをお勧めしているはずなのですが、なぜか、この記事へのアクセスが最も多いようです。なので、このローライ35Sについて、ちょっとお話してみましょう。

film-camera-challenge.hatenablog.com

 ローライ、というのはドイツの名門メーカーで、二眼レフカメラとこのローライ35シリーズが有名です。35ミリ判一眼レフカメラや、ブローニ判一眼レフカメラも非常にユニークなものを作っておりました。今でも二眼レフカメラを製造、販売しているようですが、レンズは交換できず、広角レンズ、標準レンズ、望遠レンズをそれぞれ搭載したカメラがあり、それぞれ、定価は100万円前後のようです。

www.kenko-pi.co.jp

 ローライ35シリーズは、初めはドイツで製造していたものが途中からシンガポール製となり、その時にF3.5のテッサーレンズ搭載(35T)とF2.8のゾナーレンズ搭載(35S)の二種類のレンズとなりました。さらに、露出計が変更され、それぞれ35TE、35SEとなり、他に廉価版のBシリーズ(レンズが3枚構成のトリオター型のもの)があったようですが、残念ながら、私は35S一台の所有にとどまり、比較や詳細な区分がわかりませんので、持っているこの個体の私見をご披露いたします。

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 はい、下側部分の塗装が剥げて、金色になった、風格のあるカメラです。確かに、かわいい。

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 上から見た図です。レンズ部分は、巻き上げ完了後に、シャッターボタン左前の銀ボタンを押し、レンズ部分を軽くひねることでカメラ内に収納できます。これがために、前回はフィルムをちぎってしまったわけですが、小さく収納できることは魅力です。レンズ右側が絞り設定ダイヤル、左側がシャッタースピード設定ダイヤルです。絞り値はF2.8からF22まで、シャッターダイヤルはバルブと1/2から1/500まで設定できます。絞り設定ダイヤルの正面部はフィルム感度の設定を行うようになっておます。なお、下側銀レバーを押し上げないと、絞り値を動かすことができません。レンズ収納のボタン手前側にある窓は露出計です。オレンジの丸付き矢印が設定している絞り値とシャッタースピードの組み合わせで動き、銀色の針が明るさによって左右に振れます。これがちょうど合致すると、カメラが判断する適正露出となります。なお、見ての通り、巻き上げレバーは左手側にあり、通常のカメラは右側にあるため、慣れるまで扱いにくい構造です。

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 下から見た図です。塗装が浮いているのがよくわかるかと思います。巻き上げレバー側にストロボをつけるためのシューが、反対側にフィルム巻き戻しクランクがあります。真ん中にフィルム枚数確認窓があり、そのシュー側の銀レバーが裏蓋を外すためのキーになっております。我が家のローライ35Sは、上面部の塗装はきれいなのに裏蓋部の塗装は浮きまくりなので、本体と裏蓋部は別個体だったものを合わせたのか、あるいは、裏蓋部のみ塗装がボロかったのかのいずれかと思われます。

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 裏蓋を外した図です。右側にフィルムパトローネがおさまり、左へ巻き上げていく構造です。右側上部に、露出計用の水銀電池が収まります。なお、電池の交換にはコインが必要であること、露出計のスイッチはないため、明るいところに置いておくとどんどん電池を消耗することが注意事項となります。また、フィルムが入った状態で電池が切れると、そのフィルムを撮り終わるまで電池を入れられないので、外部露出計を使用するか、勘露出で撮影することとなります。

 間違いなく、最小のカメラの一種と言って差し支えないでしょう。しかし、良い部分だけではありません。機能を削減したからこそ、この大きさに抑えられた、と言わざるを得ない部分があります。

 

 まず、ピントが目測であるということが極めて不安です。フィルム面と被写体の距離を図るのに、なんの指標もなく、勘のみが頼りなわけです。距離計というものも外付けでありますが、ほとんどの距離計はシューに取り付ける形態であり、このカメラのシューは、下部にあります。ストロボ撮影を行うのに、レンズの下からストロボ光を当てるのは「オバケライティング」と呼ばれる奇をてらったものです。あごのしたからライトをあてた、ホラー系の映像となりますからね。このシューの位置を決めた設計者、出てこい!と言いたいところであります。

 と、ピントは目測であるにもかかわらず、やたら明るいF2.8のレンズを搭載するとはいかなることか。明るいレンズは被写体深度が薄いばかりではなく、大型化重量化につながります。ピントを目測と割り切るのであれば、もっと暗いF4とか、F5.6のレンズを搭載しさらなる軽量化を目指すべきだったのではないでしょうか。また、40ミリという焦点距離も長すぎます。28ミリ程度にしておけば、沈胴させることも必要なく、もっともっと薄く軽くできたと想像できます。

 

 確かに小さいのですが、我が家で二番目に小さな一眼レフカメラでそのあたりにあったオリンパスOM-1との大きさ比較図は以下のとおりです。

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 OM-1についているレンズは50mmF1.8という廉価版標準レンズです。私の感覚では、思ったよりも、大きさの差は小さい、と感じましたがいかがでしょうか。

 この大きさの差で得られるものは、

・ピントが確認できる。

・構図が正確に確認できる。

・レンズが交換できる。

・F2.8よりも明るいレンズが使える。

・1/1000秒シャッターが使える。

・接写ができる。

・首にかけられる。

 

 私にとっては、OM-1のほうがずっと魅力的に感じられます。もっと精進を積めば変わるのかもしれませんが、目測で撮影をするということ自体が、一眼レフカメラになれた目にとっては、ものすごくストレスです。ほぼ標準レンズ域の40mmで、開放のF2.8でのピントが近距離で自信をもって合わせられる、そんな日が来るとは到底思えません。私の現状のスタイルには合わないカメラですが、いいカメラだと思いますよ、かわいいし。これからも使っていこうと思っています。

カメラの話 その7 マウント

 さて。

 

 個別の話を書き始めて、大変なことに気が付きました。とても大切な、「マウント」のことをお話ししていませんでした。

 

 マウントとは、カメラとレンズをつなぐ部分のことです。もし、初めにカメラをもらうことや実家から発掘することができなかった方は、カメラとレンズをセットで買うことになります。その時、このマウントというものが先々まで足かせになります。将来、他のマウントのカメラやレンズが欲しくなった時に、レンズやカメラが共用できなくなりますから。でも、ご安心ください。その時、どうしても欲しかったら、気が付いたら買っていますから。基本的に、同じメーカーのカメラとレンズの組み合わせでしか、使用することができません。基本的に、と付くのは以下の理由があるからです。

①アダプターにより、例えば、ニコンのレンズをキヤノンのカメラにつけることができる。

②同じメーカーであっても、途中で形状を変更しているために、第二世代のカメラに、第三世代のレンズが付かない、ということがある。その場合、第三世代のカメラに第二世代のレンズが付かない。

 

 ①は、ディープにはまっていくと必ず通る道ではないかと思います。最近はデジタル一眼のうち、ミラーレスカメラが増えてきたため、例えばソニーのα7シリーズなどには、アダプターさえあれば、いろいろなメーカーのレンズを古今東西、新旧関わらず使用することができるようになってきました。そのためでしょうか、若干、古いレンズであっても、特に数が少ないものについては値上がり傾向にある気がします。

 

 今回、丁寧にお話ししたいと思っていることは、②についてです。

 国内の主要カメラメーカーのマウントの移り変わりを五十音順でご説明申し上げます。

 

オリンパス

(所有機:OM-1、過去所有機:OM-2)

 第二世代から一眼レフカメラを製造。発売第一号機はM42ネジマウント(特殊自動絞りのため、互換性乏しい)のFTLであったが、その後のOMシリーズは一貫してオリンパスOMマウント。第四世代としてOM707というオートフォーカス機と、OM101というよくわからないマニュアルフォーカス機を発売したときに、これら2機種専用のレンズが数本発売された模様だが、初心者の方がこの2機種を手に取るとは思えないので、事実上、今、一般的に見られるオリンパスのカメラとレンズはマウントは一種類といって差し支えない。なお、流通量が少ないためか、比較的高価だとと私は感じている。

 

キヤノン
(所有機:F-1改、過去所有機:ペリックス、EOS5、EOS55、New EOS kiss、EOS kiss 3、EOS5DMark2(デジタル))

 第二世代から一眼レフカメラを製造。当初Rマウントと呼んでいたものがFLマウントになり、FDマウントと呼ばれるようになる。マウントの形状は同じように見えるが、機能に制限があるよう。FDマウントは同じマウント形状のまま、NEWFDマウントになる。ここまではマウントの互換があるよう。FDマウントはレンズのカメラ側に金属リングがあり、それで締め付ける形状(スピゴットマウント)となっている。締め付けるだけで、しっかりと装着できた感が乏しいので、私はあまり好きではない。なお、下の写真がFDレンズである。

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1980年前後からNEWFDマウントになり、レンズがワンタッチで脱着できるようになったが、いまだにその仕組みがよく理解できない。なお、下の写真がNEWFDレンズである。写真では見えないが、レンズの基部にレンズ取り外しボタンがあり、装着時には「カチッ」と音がするので、ちゃんと装着できている安心感があり、好き。

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 第四世代となり、EFマウントに変更。FDマウント、NEWFDマウントとは互換性がない。FDマウント、NEWFDマウントは流通量が多く、第四世代のカメラに使用できないことから安価で入手できる。

 

コンタックス

(所有歴なし)

 第三世代から一眼レフカメラを製造。途中、第二世代のものも作るが、その後、マニュアルフォーカスではあるがモーター巻き上げのカメラが主体となる。コンタックスYSマウントと呼ばれる。1996年には、マニュアルフォーカスレンズでオートフォーカスとなるAXという面白いカメラを販売。レンズを前後させてピントを合わせるのではなく、カメラの中でカメラを動かして、ピントを合わせるのだ。その後、本格的第四世代に合わせて、マウントをNマウントに変更。互換性なし。NマウントカメラはN1とNXの2機種のみで、使っている人は実兄一人しか見たことがない。レンズの径がやたら太く、中判カメラ用レンズのような姿である。Nマウントはあまり普及しなかったので、ほとんどのカメラ、レンズはYSマウントと考えて差し支えない。

 

ニコン
(所有機:フォトミックFTN、FE、F3、F4、F90XS、F80S、過去所有機:New FM2、F5)

 第二世代から一眼レフカメラを製造。当初より現在まで一貫して、ニコンFマウントである。しかし、1970年代後半に「Ai」という露出管理のための切り欠が付いたり、1980年代前半には「Ai-s」というレンズ明るさの指標や絞り制御の機能が付いたり、1980年代後半にはオートフォーカス化に合わせてCPUが搭載されたり、2000年になり絞りリングがない「Gレンズ」となったり、装着はできても機能に制限があったり、そもそも装着できない組み合わせも多数あるため、必ずしも利点のみではない。世代にあったものを使用する(せめて、第3世代以前と第4世代以降を分ける)ことが必要である。

 

ペンタックス

(所有機:KX、ME-super、LX、過去所有機:SP、K2、MX、MZ-3、MZ-5、istD(デジタル))

 第一世代から一眼レフカメラを製造する、国産一眼レフカメラのフロンティア。第一世代のアサヒフレックスシリーズはネジマウント(小口径)、第二世代のSシリーズと「K」はネジマウント(M42マウント)、1975年以降のKシリーズ、Mシリーズ、SFX、Zシリーズ、MZシリーズはKマウントと呼ばれる。Kマウントカメラには純正のマウントアダプターにより、M42マウントのレンズが使用できる。昔は1000円だったのだが、今は値上がりしているようだ。Kマウントの最大の利点は、レンズ取り外しボタンがカメラを保持した右手薬指を少し伸ばしたところにあり、ものすごく扱いやすいことだと思っている。

 

ミノルタ

(所有機:SRT-Super、X-500、過去所有機:XE、XD、X-700、α7000、α707si、α807si、α9xi、α9、αSweet)

 第二世代から一眼レフカメラを製造。第二、第三世代はSRマウントだが、機能の追加により、Autoシリーズ、MCロッコール、MDロッコール、NMDレンズと分かれる。第四世代となり、Aマウントに変更、それ以前のものと互換性なし。Aマウントは現在、ソニーデジタルカメラに受け継がれている。キヤノンと同じく、マニュアルフォーカス時代のレンズは、第四世代以降のものに使用できないため、安価で流通するものが多いが、キヤノンと比べると当時の販売数が少ないためか、レアものはびっくりするような高値となっている。初めて一眼レフカメラとして私が一押ししたいのは、ミノルタのマニュアルフォーカスカメラ、かも。

 

 国産の主要メーカーはこんなところだと思います。他にも一眼レフカメラを作っていたメーカーはたくさんあります。リコーやチノン、ペトリ、トプコン、コシナ、などなど。知ってはいますが、初めてカメラとして、もらうならともかく、そうでなければ一台目としては選ばないだろう、と思い、主要6メーカーとして上記のものについてご説明いたしました。

 

 これでこれから先のお話がしやすくなります。次はまた、個別カメラ紹介に戻ろうと思います。

 

カメラの話(個別第二回) キヤノンF-1改(第二世代)

 さて。

 

 今回は、個別第一回のニコンF3より一世代前のカメラになります。ニコンと双璧をなす、日本の誇るカメラメーカー、キヤノンのF-1改です。1971年発売のキヤノンF-1の改良版で、1976年に発売された機械式一眼レフカメラであり、露出測定以外に電源を必要としません。すべて、巻き上げレバーで巻き上げたエネルギーで動いている、という感動があります。

film-camera-challenge.hatenablog.com

 

 プロ用カメラはニコンが席巻していたところに、老舗であるキヤノンがプロユースに耐えられるカメラとして開発し、これ以降ニコンキヤノンのプロ機をめぐる戦いが繰り広げられ、それは今でも続いている、と言って過言ではないでしょう。プロ機というものは、そのカメラメーカーの華であり、シンボルであります。

 格好いいカメラです。写真からいきましょう。

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 カメラは漆黒で、何重塗装だったか忘れましたが、40年を経過したとは思えない美しさです。重厚感もありますが、実際、かなり、重いです。なお、この写真のカメラには、「カプラーF」という、ファインダーの上にストロボを搭載するためのオプション品が付いております。私はこのカメラでストロボ撮影をすることはありませんが、外しておくとなくしそうなので、ずっとつけっぱなしにしております。

 

 レンズも当時物のFD50mmF1.2です。上側に赤く書かれている「SSC」は、キヤノンがカラーフィルム時代になることを見越して開発、採用したレンズのコーティング「スーパースペクトラコーティング」の略号です。

 

 ライバル関係にあったニコンのF2シリーズは、スマートなファインダーであるノーマルファインダーでは露出計が搭載されず、露出計が搭載されたF2フォトミックシリーズはでっかい頭をしておりました。その点、キヤノンF-1は、このスマートな外見にもかかわらず、露出計を内蔵しておりました。しかし、美点のみではありません。

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 ファインダーを外すと、ファインダースクリーンという擦りガラスがあります。このファインダースクリーンの中心部の長方形、やや暗いグレーになっている部分にハーフミラーが埋め込まれ、そこから光をすこし失敬し、露出測定、つまり、明るさを測定しているわけです。そのため、ファインダーを覗くと、中心部分が長方形に、わずかではありますが暗く見えます。ちなみに、この写真の個体は私が中古で購入した時にファインダースクリーンにカビが生えてしまっておりました。そこで、関東カメラサービスという修理屋さんが、このカメラの後継機種であるNew F-1のファインダースクリーンを改造した明るいタイプのスクリーンを作成、販売しておりましたので、それを購入し、使用しております。なので、ノーマルのF-1のファインダースクリーンは全体的にもっと暗く、暗く見える部分はさらに暗く見えてしまうわけです。つまりは、この写真は消して誇張しているわけではなく、実際はさらなる明暗差がある、ということです。これは、気になる人は気になるかもしれません。

 F-1改と紹介しましたとおり、F-1から改良されたものとなります。その大きな改良点がこちら。

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 巻き上げレバーにプラスチックの当てが付き、巻き上げの角度が小さくなり、操作性が向上しました。「改」でないものは、巻き上げレバーの親指が当たるところが金属むき出しです。他に、設定できるフィルム感度の範囲が広がったようですが、今となっては、改良点は巻き上げ関係のみといってよいでしょう。「改」のほうが当然、扱いやすいと思いますのでお勧めです。

 

 このカメラを初めてカメラにする際の欠点は、3つです。

 一つ目は、重いこと。レンズを付けると1kgを軽く超えます。

 二つ目は、露出計に使用する電池が水銀電池であり、すでに生産されていないこと。アダプターを使用するか、水銀電池と同じ形をしたアルカリ電池を使用することになりますが、どちらにしても割高です。もっとも、アダプターは一度買ってしまうと、あとは汎用のボタン電池が使えることにはなるのですが。

 三つ目は、良い状態のものは高いこと。プロ用機として開発されたので耐久性はあると思いますが、初めてカメラがボロボロなのも気が引けるでしょう。私は、不動品を入手し、分解清掃調整を業者に依頼し、整備して使用することにしました。おかげで、本体購入金額の4倍ほどの整備費用が掛かりました。

 

 このカメラを初めてカメラにする際の利点もまた、3つです。

 一つ目は、キヤノンは第四世代、つまりオートフォーカス化する際にそれまでのものとはレンズとカメラをつなぐ金型、マウントを変更しました。結果、このカメラで使用するレンズは、今のデジタルカメラでは使用できません。なので、不人気であり、かつ、当時たくさん売れたので、数はあります。したがって、一部のレアものを除くと、非常に安価に交換レンズがGETできます。ただし、キヤノンのマニュアルフォーカスレンズは、カメラから外すと絞りが絞られてしまうので、レンズにカビがあるかどうかのチェックが難しいです。丹念にレンズの中を観察する技量が必要です。

 二つ目は、もう、カメラの中のカメラと言える、この風貌と、重厚感。所有欲を満たしてくれること間違いなしです。

 三つめは、機械式カメラゆえのすべて自身で設定する達成感と、修理可能性。露出もピントも、自身で考え、自身で設定する必要があります。なお、電子部品は露出計のみなので、調整だけでかなりの個体が修理できると思います。また、私の勝手な理論でありますが、

「過去40年間動いてきた機械ものは、きっちり整備をすれば、あと40年間使い続けることができる。」

 私は現在アラフォー世代。あと40年間動いてくれるとなると、平均寿命までカバーしてくれます。一生のお付き合いができるカメラ、と言えます。

 キヤノンF-1改をまとめますと、このようになりました。 

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携帯性は、800gオーバーで重く、常に持ちあることは苦行なので3点減点。

デザインは、怒り肩でファインダー部が小さいため、ややアンバランスのため1点減点。

質感は、ピアノブラックのような素晴らしい塗装で言うことなしの満点。

操作感は、巻き上げが非常にスムーズで、シャッターの感触も良く満点。

ファインダーは、構造上露出計に持っていく光の範囲が暗いので少し気になり1点減点。

入手のしやすさは、中古市場にそれなりに数はありますが、きれいなものは価格が高く、ジャンク品はそれなりの程度となり、ちょうどバランスの良いものはあまり見つかりませんので2点減点。

堅牢・修理はプロ用で壊れているものをほぼ見かけないので、堅牢性はあるものの、部品であるチタン薄膜シャッターは特殊性が高いためこれがやられると修理困難であると判断し堅牢・修理は1点減点。

システム力は、キヤノンマニュアルフォーカスレンズは多く販売されたものの販売終了後すでに20年近く経過し、良品が潤沢とは言えないため1点減点。 

 

 個別第一回、第二回と、プロ用カメラが続き、ちょっと私もおなか一杯になってきました。次はもう少し、ライトでとっつきやすいカメラを選定してみます。