フィルムで写真を撮ってみませんか。

「フィルムを使う写真に興味を持つ人を一人でも増やす」ことが目標の一個人の活動

カメラの話(個別第七回) ペンタックスME-super(第三世代)

 さて。

 

 2018年になりましたが、大変冷え込んでおり、カメラを持ち出す意欲も落ちています。金属外装のカメラは冷たく、こんな季節にはプラスチック外装のカメラがウレシイです。しかし、プラスチック感満載の

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では、ちょっと質感が不足し、残念です。

 

 今回紹介のカメラは、ペンタックス製のME-superです。まずは外観から。

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しっかり見ても、金属外装に見えますが、上蓋、下蓋ともに、金属のひんやり感はありません。

 絞り優先オート専用機だったMEに、マニュアル露出ができるよう、シャッタースピード調整用のボタンが追加になり、シャッタースピードの最高速度も1/2000にアップしております。とても小柄で、使いやすいカメラです。レンズもまた小型のものを合わせると、コートのポケットにも入るサイズです。

 

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 シャッターボタン周囲のダイヤルを、「AUTO」に合わせると絞り優先オートに、「M」に合わせるとマニュアル露出になり、ペンタ部右側の前後に並ぶボタンでシャッタースピードを調整します。「125X」がストロボと連動する最高シャッタースピードの1/125に固定するもので、電池がなくなってもこのシャッタースピードでは撮影が可能です。「B」はバルブ露出、押している間ずっとシャッターを開いているもので、これもまた電池がなくても作動します。マニュアル露出は、使えるけど使いにくいってのが実際のところです。

 巻き戻しクランクの周りに露出補正ダイヤルがありますが、1段刻みでしか調整できません。シビアな露出調整には向かないカメラです。裏を返せば、シビアな露出調整は必要ないネガフィルムに非常に向いているカメラでもあります。

 では、どれくらい小型か、今までに登場した中で最も小さいオリンパスOM-1と比べてみましょう。

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 高さ、厚みはあまり変わりませんが、横幅は明らかにME-superのほうが小さいです。

 注意点は、巻き上げが不調の個体が散見されること。実は、私のカメラもその症状があり、巻き上げレバーがスカスカでした。中の小さな樹脂製部品が劣化してボロボロになり、巻き上げ完了後にかかるストッパーの役割を果たせなくなったことによる症状、と聞きました。おそらく、どの個体もこのリスクがあるので、近年にオーバーホール歴のないものは、近々発症すると思われます。

 ME-superをまとめますと、このようになりました。

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携帯性は、文句なしの満点。

デザインは、整っているとは思うものの、シャッタースピードダイヤルの代わりにボタンとなっているところに若干の違和感があり1点減点。

質感は、ぱっと見はわからないものの、プラスチック製と知ってしまったので2点減点。

操作感は、巻き上げレバーにジャリジャリ感があり、2点減点。

ファインダーは、倍率が大きいのですが暗いため、1点減点。

入手のしやすさは、市場に多く存在するものの程度が良い品は少なくなってきているので1点減点。

堅牢・修理は、巻き上げに弱点があること、年月が経ち電子部品の修理は絶望的なので、3点減点。

システム力は、多くのペンタックスレンズやネジマウントのレンズも簡単に安いアダプターで使えるので満点。

 

 このカメラで、最も不満なのは、ほぼ絞り優先オート機であるにもかかわらず、絞り込みボタンがないこと。ネジマウントレンズを装着すれば実絞りになり、このことは気にならなくなりますが、ファインダーが暗いのに、さらに実絞りで暗くなってしまい撮影に支障をきたしてしまいます。しかし、私はこのカメラに装着するのは、写真の薄型軽量廉価型A50F2レンズか、ネジマウントレンズにしております。ネジマウントレンズは小さくて扱いやすいレンズがたくさんありますので非常にバランスが良いです。ただ、今の時期、ネジマウントレンズの金属製ピントリングを素手で扱うのはつらいです。

 結論としましては、クラシカルな面影で、露出にオート機能もあり、初めて一眼レフカメラにお勧めできる一品です。

 

 続編追加しました。

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ブログの方針(平成30年)

 さて。

 

 年末年始の休みも終わり、平常のスケジュールになってまいりました。年末年始の間、少し時間があったので、初めて約3か月のこのブログの平成30年の方針を考えておりました。

 フィルムの良さやチョイス、カメラの分類と個別の紹介をボチボチとしておりますが、所詮、私の持っているカメラは両手プラスアルファ程度なので、あっという間にネタ切れになってしまいます。レンズはその6,7倍はあるとは思いますが、レンズのインフォメーションをするのであれば、作例は必要と思われます。しかし、インターネットという情報媒体上に掲げるにはフィルム撮影よりもデジタルカメラでの撮影のほうが圧倒的にパフォーマンスが良いのは明らか。だが、このブログの趣旨はフィルムを推進すること。矛盾が生じ、葛藤しております。

 もっと大きな問題として、私は写真を撮るのがヘタなので、作例をさらすことは恥をさらすも同然・・・・

 

 レンズの紹介をするべきとはわかっております。しかし、作例をあげることは難しい。フィルムで撮影し、取り込んで掲載するとしても、私の撮影能力とデジタル化の過程が加わることを思えば、まったく、フィルムをアピールすることにはつながらない。

 

 そこで。

 レンズの紹介は行います。しかし、作例はアップしません。

 二つに大きく分類して紹介します。一つは、明らかなるスペック(焦点距離開放絞り値、最短撮影距離、重量)を紹介すること。これは、主観性客観性に関係なく、普遍的な事実として。もう一つは、私の主観に基づくもの。いくつかのポイントを点数化し、多角形グラフとして掲載したいと思っております。思いついているポイントは、以下のとおりです。

1.描写能力(私の主観)

2.取り回しの良さ

3.市場での流通量

4.市場価格

5.独自性(これじゃなきゃ度)

6.持ち出す頻度

 

 これらを総合して、愛玩ポイントとおすすめポイントの二つの、10点満点評価にしたいと思っております。

 

 さてさて、できますことやら。

 頑張りますので応援、チラ見、よろしくお願いします。

カメラの話 その12 新春

 さて。

 あけましておめでとうございます。本ブログを初めて初めてのお正月ですが、皆様、いかがお過ごしでしょうか。

 私はこの年末年始は遠出をせず、最も遠いところで私の実家の50kmほど離れた二つ隣町に顔出しあいさつに行く程度で終わりそうです。

 

 新年初の話題でございます。このビッグニュースを差し置いて、他に語るべき話題はございません。

www.nikon-image.com

 

 な、なんと、今年3月末までの限定で、ニコンのマニュアルフォーカスカメラのメンテナンスをニコンがしてくれるというものです。驚きました。マニュアルフォーカスに限りますが、フラッグシップ機のF、F2、F3はもちろん、エントリー機種で絞り優先オートのみのかわいらしいEMや、ニコマートシリーズ、瞬間絞り込み測光に多分割測光も有するFA、FMシリーズ、FEシリーズと、ほとんど受けてくれるそうです。

 しかし、部品交換を要するものは不可、という情報もございます。おそらく、ニコンが有するこれらカメラの部品の総浚いをするのではないかと私自身は勘ぐっております。いや、もちろん、ニコンの「長年のご愛顧に感謝して」というのが第一ではございますが、これを機に、一斉に部品を放出してしまうのではないかと・・・ということは、今後のメンテナンスはこれを最後により一層難しくなるのではないかと思っております。

 

 我が家には該当するカメラは3台ございますが、ニコンフォトミックFTNは昨年オーバーホールしたところですしF3も数年前にオーバーホール済みです。まったく機能に不都合はないのですが、8年前にオーバーホールした「シンプルニコン」FEをお願いしようと思っています。私のこのカメラには後継機種のFM3A用のファインダースクリーンを入れた都合上、2/3段の露出補正をかけなければいけない状態になっている(後継機種のスクリーンのほうが明るい→2/3段感度が低いフィルム感度に合わせる(EX.ISO100のフィルムを入れるときは、ISO64の指標に合わせる)必要が出ているので、この補正をしてくれるとうれしいな、とも思っています。

 

 マニュアルフォーカスカメラは、結構頑丈です。整備なしに使い続けられているものもあると思います。しかし、ここで最後に手を入れておけば、さらに寿命が延びることはもちろん、安心して使える期間もまた伸びることになります。この機会を逃す手はございません。

 ニコンのカメラらしいカメラを使いたいアナタへ!

 Dfは、3月以降も購入できます。しかし、マニュアルフォーカスカメラの整備はこれが最後だと肝に銘じて、どちらが大事か考えてみてください。

 Dfを買う資金があれば、F、F2、F3のかなり程度の良いものを買って、すべて整備しても十分おつりがあるのではないでしょうか。

 

 新春のあいさつに代えまして、今がニコンマニュアルフォーカスカメラの最大の買い時であることをお伝え申し上げます。

カメラの話 その11 2017年を振り返って

 さて。

 

 クリスマスとなり、いよいよ年末となってきましたが、皆様いかがお過ごしでしょうか。

 今回は、今年2017年を振り返ってみることとします。

 

 我が家で新たに増えたのは、オリンパスOMシリーズでした。一昨年にOM用90mmF2マクロをジャンク品で購入、中が曇っていたのを修理し、ソニーα7で使用するも、あまり大したレンズと思えず、手放すことを検討していたところ、今年の年初めにボロボロのオリンパスOM-1黒がワンコインで売られておりました。まぁ、ワンコインならと購入し、このレンズをつけてみると、餅は餅屋なわけで、それはしっくりと来たわけです。しかし、このOM-1黒はどのような使われ方をしていたのか、地金の銀色が出まくり、片側のストラップ留め具は外れてないという代物でございまして、ちゃんとしたのが欲しくなり、シルバーを購入するも、綺麗な黒も欲しくなり、当家法に基づく「同一カメラを2台は買わない」を特例法「色違いは同一カメラと認めない」により乗り越え、OM-1の黒、白がそろいました。OM-1黒はボロボロときれいなのの2台ございますが、これは、OM-1(非モータードライブ対応)とOM-1(モータードライブ対応)で別機種であるという解釈でございます(言い訳)。OM-1は二台とも、オーバーホールしていただき、それなりに金額はかかりましたが安心して使える状態となりました。

 カメラが増えればレンズが増えることは当然のことですので、OM用90mmF2マクロに加えて、21mmF3.5、50F2マクロ、50F1.8、135F3.5、135F4.5マクロの大所帯に成長しました。

 オリンパスの地力は、やはり軽量コンパクトです。せっかくのボディの軽量コンパクトを生かすためには、レンズも多少暗くても軽量コンパクトでなければなりません。

 

 さらに、先週はふと立ち寄ったカメラ店で魔が差して、オリンパスPEN-FV(カビあり品)を所望してしまいました。

 このカメラは。ハーフサイズカメラで、通常のフィルムを、普通に使う半分のサイズで使用するカメラでございます。以前から、私の写真の9割は縦位置写真であり、このカメラは普通に横に構えると縦位置となることから興味を持っていたカメラでした。そのなかでも、比較的フィアンダー像が明かるいこのカメラはレアものであり、なかなか手に取る機会がなかったのですが、手に取ってしまうと、ねえ、もう、買うしかないだろと買うの一手。

 50年経過したカメラでもあり、年が明けたらオーバーホールを依頼するつもりですが、残念ながらレンズの入手には至っておらず、当面はアダプターでオリンパスOM用のものを使おうと思っております。

 

 フィルムカメラにはまってしまい、心が弱いと私のように次々とカメラやレンズを買ってしまうかもしれません。しかし、昔の価格からすれば、ねぇ、圧倒的にリーズナブルに、圧倒的に所有欲を満たしてくれるので、私自身は、大満足であります。

カメラの話 その10 理想のカメラ

 さて。

 

 今回は理想のカメラとは何かを考えてみましょう。まず、この答えは人それぞれ異なります。タイプ分けして整理していってみましょう。

 

タイプ1-どうしてもメチャメチャ高解像度の写真が撮りたい方

思考:写真は情報量が命。とにかく高解像度で撮影しておけば、後々の記録となる。

結果:最新式の超高画素デジタルカメラと最新式の超高性能レンズの組み合わせを追い続けるべし。それなりに重量的、金銭的負担が大きいことを覚悟し、十分に備えるべし。

 

タイプ2-すぐにSNSでお友達と共有したい方

思考:おいしそうでしょ!楽しそうでしょ!いいでしょ!

結果:スマホにするか、スマホと連携できるデジタルカメラを手に入れるべし。

 

タイプ3-とにかく連写が大好きな方

思考:鳥やモータースポーツを撮るのに連写はつきもの!そのうちの1コマでもいいショットが撮れていたら大満足!

結果:フィルムではコスパが悪すぎるので、オートフォーカス性能と連写速度が優れたデジタルカメラを手に入れるべし。

 

タイプ4-どんな環境ででもスナップ写真が撮りたい方

思考:夜でも朝でも昼でも街でふらっと、裏路地のネコを撮りたい。オレは、神出鬼没の夜行性だ!

結果:撮影感度をあげてもノイズがあまり出ない高感度重視のデジタルカメラを手に入れるべし。

 

 タイプ1から4に該当する方は、フィルムカメラを購入するべきではありません。デジタルカメラに圧倒的アドバンテージがあることを重視しているわけですから。

 では、フィルムカメラに向くタイプの方たちを想像しながら、理想的なカメラを考えていきましょう。

 

タイプ5-かつての光学工芸品に触れたい方

思考:昔のカメラは精密感をさらに凝縮した、密度の濃いものじゃった。

結果:フィルムカメラのフラッグシップ機を手に入れるべし。レンジファインダーのライカ、ニコンF、F2、F3、キヤノンF-1、NewF-1、ミノルタX-1、ペンタックスLX、コンタックスRTS、RTS2あたりでしょうか。1980年代前半以前のものがお勧めです。

 

タイプ6-人とは違うスタイリッシュなカメラを使いたい方

思考:カメラはアクセサリーの一つだ。あまりに大きいものは好ましくないな。

結果:デジタルカメラであればニコンDfがあるものの、分厚くずんぐりむっくりで、たぶん参考としたデザインのニコンFM2FE2に比べると格好いいとは言い難い。となると、やはり、小型軽量の金属一眼レフでしょう。ニコンFM2FE2ミノルタXD、ペンタックスMX、LX、オリンパスOM-1、OM-2あたりでしょうか。

 

 

 私のタイプは5と6です。さらに、ここから条件が付いていきます。

 まず、私がどうしても許せないのは、ファインダー視野内に露出等の表示で隠れている部分があること。例えば、ミノルタXDはファインダー右側にシャッタースピードの表示があり、そのランプ部分がファインダー視野内にせり出しています。ニコンFM2は、ファインダー左側にシャッタースピード表示がちょっとだけせり出しています。これが、モヤっとして許せないのです。そのため、ミノルタXDもニコンFM2も、他にはペンタックスZ-1Pも、MZ-3も、いいカメラだと思いつつも手放してきました。

 次に、巻き上げレバーが滑らかでないこと。オリンパスOM-4Tiは非常に完成度が高いマニュアルフォーカスカメラで、さらに小型軽量かつ凝縮感があるものすごく魅力的なカメラではあるものの、巻き上げレバーの感触が悪いがために購入に至っておりません。

 

 以前はこれに、修理ができないカメラは避けたいと思っておりました。しかし、すでにフィルムカメラのほとんどが販売終了から10年以上経過し、メーカーで修理ができるカメラがほとんどなくなってしまいました。修理専門業者の修理料金も、徐々にではありますが高額になってきた気もします。

 整備ができるフィルムカメラを気持ちよく使えるのは今がラストチャンスと言えるでしょう。皆様も早く理想のカメラが見つかれば良いのですが。

 

 ちなみに、私はまだ理想のカメラを見つけられていません。そのため、複数のカメラをとっかえひっかえ使う羽目になっております。

パート別の理想カメラは、

最高のファインダーのカメラ:ミノルタX-500

最高の巻き上げ感のカメラ:ニコンF3

最高の質感のカメラ:キヤノンF-1改

最高の小型軽量精密感のカメラ:オリンパスOM-1

最高の小型軽量システムカメラ:ペンタックスLX

最高の撮影感触のカメラ:ニコンF4

これらすべてを備えたカメラがあればよいのですが、まだ販売されておりません。

カメラの話(個別第六回) オリンパスOM-1(第二世代)

 さて。

 

 今年に入り急速に我が家で勢力を広げてきましたオリンパスOM-1です。今のところ、3台がやってきました。第二世代の機械式カメラになります。

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 オリンパスは、大正時代(当時は高千穂製作所)から顕微鏡を開発していた非常に歴史のあるメーカーです。二眼レフカメラ、中判蛇腹カメラ、ハーフサイズカメラ、135判カメラ、APSフィルムカメラと多様なカメラを作っておりました。ブレイクしたのは、1960年代のオリンパスペンシリーズ、ハーフサイズカメラでした。ピント合わせ不要で露出もオートの「押すだけ」初心者向けのもの(EEシリーズ)から、ピントは目測、露出は勘のもの、大口径レンズを搭載したものと様々ありました。しかし、1960年代後半になると徐々に勢いは失われ、135判カメラに押されてきます。そこで、オリンパスが投入した135判一眼レフカメラの2機種目が、M-1、後のOM-1です。

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 うん、間違いなく、格好いいカメラです。巻き上げレバー前側に「MD」と書いてあるシール(剥がれかけ)がありますが、これは、モータードライブに対応していますよ、というマークで、モータードライブというのは電動巻き上げ装置のことです。まぁ、今このカメラを使う人でモータードライブを使う人はそういないと思いますのであまり影響はないかもしれませんが、私はこのカメラの他に2台OM-1があり、1台はシルバーなのですが、もう一台はこれよりも古い世代のモータードライブに対応していない黒ボディです。その古い世代の黒ボディーは塗装がすれると、下地が銀色なのです。このボディの下地は金色(真鍮色)なので、使い込んだ時の色合いが違ってきますから、長い付き合いをするのであれば、将来のすれた時の色が、「黒+金」になるのが希望であればモータードライブ対応のものを、「黒+銀」になるのが希望であればモータードライブ非対応のものを選んでみればいいと思います。経験上、他に「黒+銀」になるボディーは、チタン外装のものくらいなので、レアだと思います。このカメラは後期型になると小さな「N」が付いた、OM-1Nになります。改良点はストロボを使用するときにチャージ完了ランプがファインダー内に出ること、ファインダースクリーンが変更になったことくらいかと思いますので、ほぼ違いはないでしょう。

 

 残念ながらこのカメラには持病があります。ファインダーを覗くと黒いモヤモヤした模様が見える個体が多いのですが、これはプリズムの銀蒸着の劣化です。整備していないOM-1のほとんどでこの症状が出ていますし、今手を入れなければ将来的に出る可能性が非常に高いです。これは、プリズムの押さえに使っているスポンジ状素材が経年劣化して、ベタベタになって、プリズムの銀蒸着をはがしてしまうことに起因します。すでにメーカー部品はないのでプリズムの交換はできませんが、一部修理業者さん(私の知っている範囲では「日研テクノ」さん(大阪))ではプリズムの再蒸着がしてもらえるようです。それなりに金額はかかるでしょうが。なので、このカメラを選ぶ際は、なるべくファインダーがきれいなものを選びましょう。

 

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 操作性で他のメーカーと大きく違うのは、巻き戻しクランク側にある大きなダイヤルがフィルム感度設定ダイヤルであること。一般的に、ここはシャッタースピード設定ダイヤルの定位置ですが、オリンパスのカメラのシャッタースピード設定ダイヤルは、

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レンズの付け根にあります。そして、絞り設定リングはレンズの先端側にあります(一部例外のレンズもありますが)。これは、小型化するためにシャッタースピードダイヤルはレンズ付けにあるほうが効率的であったこと、右手はシャッターボタンに集中し、操作は左手で行うようにするにはこのスタイルが便利だからということ、など諸説ありますが、すべては天才設計士米谷氏のカメラ愛から生まれたものということだけは間違いありません。そして、事実とても、扱いやすいです。また、巻き上げレバーそばのスイッチは露出計のスイッチですが、無駄にでかいという評価もあるようですが、手袋をしても操作がしやすく、冬に優しいカメラと言えます。

 

 小型軽量で、布幕横走りシャッターの静かさ、これは米谷氏が追及したこのカメラの魅力であり、いまだにその魅力は全く衰えることはありません。また、ファインダーの倍率や視野率も申し分のないものです。

 しかし、全く欠点がないわけではありません。

 その魅力的なファインダーが、暗いのです。せっかくの小型軽量ボディーに似合う小型軽量レンズをつけると、そのファインダーの暗さが際立ってしまいます。オリンパスもかなり後期に販売されたOM-3Tiのスクリーンは明るいとのことですが、ツメの位置が変わっているとかで、OM-1にそのまま搭載することはできないそうです。また仮に入れたとしても露出計がずれてしまうとのことです。これは、残念ポイントと言わざるを得ません。同じ小型軽量のカメラであっても、

ペンタックスLX

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ミノルタX-500

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に完敗しております。これらのカメラの発売日はOM-1から遅れること10年近くなので当然の進化でしょうが、ファインダーで快感を得るにはちょっと役不足です。あと、一部メーカー改造を受けた個体以外は、露出計の電源が水銀電池であり、もうとっくに水銀電池は販売中止となっていますから、露出計を使うにはアダプターが必要です。

 

 オリンパスOM-1をまとめますと、このようになりました。

 

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携帯性は、小型軽量で、文句なしの満点。

デザインは、オシャレな雰囲気バリバリで満点点。

質感は、肉薄感があること、黒塗装が弱いことから2点減点。特に巻き上げレバーの薄さが不安。

操作感は、よく考えられた操作系統で扱いやすいものの、独特で他のカメラメーカーとの併用が難しいことから1点減点。

ファインダーは、倍率が高いのではあるが、いかんせん暗いため、1点減点。

入手のしやすさは、数が多く、数千円で入手可能なものも多いが、手を入れる必要があることから1点減点。

堅牢・修理は、外装は薄くへこみやすいこと、特にプリズムに痛みがある個体が多いことから2点減点。

システム力は、レンズの流通量が少なく、また、概して高価なため2点減点。

 今、OM-1はその外観の美しさや使いやすさ、小型軽量といった総合的な魅力からだと思いますが、非常に人気があります。きれいなのを買おうと思えば、1万円程度は必要です。いいカメラなのは間違いありませんが、現物を見て買わなければいけないカメラの代表格だと思います。そして、購入後、すぐに修理業者でオーバーホールをする必要があり、一台当たり約2万円かかっていることをお伝えします。購入金額に修理代を、必ずしもパフォーマンスが良いカメラだとは言い難いです。このカメラを買いたい方は、もちろん良いカメラではありますが、他にももっと魅力的なカメラがあるかも、と、ちょっと周りを見回してみることもお勧めします。また、オリンパスのレンズはニコンキヤノンの比べて流通量が少なく、価格もやや高めですので、特にレアレンズはびっくり価格です。

 

 オリンパスがこのカメラの後に発売したOM-2シリーズは、購入時はちゃんとシャッターが切れていたものの保証期間を過ぎてすぐにシャッターが切れなくなって、修理もできず、涙したことがあります。また、OM-4シリーズ、OM-3シリーズは、巻き上げレバーの感触がぎくしゃくしており、今までに2度入手するも手放し現在所有していないことを申し添えます。オリンパスで買うのなら、OM-1シリーズ一押しです。 

 

続編追加しました。

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カメラの話 その9 購入方法

 さて。

 

 昨日は、

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 で、カメラを買いそこなった残念なお話をいたしましたが、よくよく考えてみると、実家から発掘する、もともと持っていたものを使ってみる、知り合いからもらってみる等、無償で入手する以外の、購入する等の方法の詳細については、

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 で触れていなかったことに気が付きました。今回は、①どこで、②だれから、③どういうカメラを購入すれば良いのかをお話しします。

 

①「どこで」について

 「対面販売」と、「非対面販売」に分けられます。対面販売は、実店舗で現物を見て店員さんと対話しながらの購入のことですね。非対面販売は、今の主体はインターネットでの購入になりますね。昔はカメラ専門雑誌があり、そこの後ろにカメラ店の広告があり、ずらーーーっと在庫と販売価格が書いているページがありましたが、今はもう廃れていることでしょう。

②「だれから」について

 「事業所」からと、「個人」からとに分けられます。事業所は、カメラ専門店と、リサイクルショップや質屋、中古屋、ジャンクショップなど、様々な中古品を取り扱っているお店とに分けられます。

③「どういうカメラ」について

 その後の説明で第一世代、第二世代、第三世代、第四世代に分けてお話をしましたが、フィルムカメラのほとんどが生産中止になりある程度の年月が経ってしまったため、ほとんどのカメラがメーカーでの修理不能となってきております。修理専門業者で修理ができるもの(もちろん、状態によって修理不能のものも多くありますが)は、第二世代のもののうち、布幕横走りシャッターという比較的古い設計のものや、第三世代のうち永く販売され流通在庫が多いもの、第四世代で最近まで販売されていたもの、といったところですね。今回の「どういうカメラ」は、「修理可能なもの」と「修理不能なもの」に分けます。

 

 最も安心な①②③の組み合わせは、「対面販売」の「カメラ専門店」から「修理可能なもの」となり、最もリスキーな、「非対面販売」の「個人」から「修理不能なもの」を購入するのに比べ高価になります。

 意を決してフィルムカメラを買うのに、リスキーなものを購入、結果が残念なことになると、気分は萎えてしまいますよね。しかし、私のように都市に住まない者にとっては、対面販売のカメラ専門店で好ましいカメラを選ぶことはレアチャンスです。実際、「非対面販売」で購入せざるを得ないこともありえますが、その際には、「保証の有無」を確認しましょう。フィルムは撮影後に現像するという作業が必要になりますので、「保証期間1週間」というのは短すぎます。最低でも1か月程度の保証期間があるものを選びましょう。

 

 一台目は、確実に撮影できる、安心なものを入手してください。もしくは、ほとんどの第二世代のカメラは、製造からすでに30年以上経過していますので、「修理可能なもの」を購入し、購入後すぐに修理専門業者で修理または分解清掃等、手を入れるということもアリかと思います。その場合、私の最近の例では、ニコンフォトミックFTNを無償で入手、オーバーホール:2万5千円程度、あるいはオリンパスOM-1購入:8千円程度、オーバーホール:2万円程度かかっております。これで、1970年代のカメラが、何の不安もなく、使うことができるのです。

 

 地方で中古カメラを現物を確認して購入できる店舗のおすすめは、カメラのキタムラさんです。全国に約800店舗展開しており、希望する中古カメラ・レンズが他店にあれば近隣店舗に配送してくれます。現物を確認し、問題点があれば購入しないことももちろん可能です。初めてカメラを買うのに、店員さんがチェックしてくれるというのは大きな安心ポイントだと思います。保証付きのカメラもたくさんあります。

www.kitamura.co.jp

 ちなみに、株主になりますと、プリントサービス券や優待券、系列スタジオでの撮影割引券もいただけます(平成29年現在)ので、オススメです。

 

 ただ、たびたび出入りしていると、「〇〇さん、今日、こんなカメラが入ったよ、どう?」と声をかけられ、カメラが増えていく危険性もあります・・・・