フィルムで写真を撮ってみませんか。

「フィルムを使う写真に興味を持つ人を一人でも増やす」ことが目標の一個人の活動

カメラの話(コラム第三回)カメラと、私。(目次)

 さて。

 

  前々回に少しふれました通り、私、所用により引っ越しをしておりました。

 今までに触れましたカメラと、そのレンズたちと、付属品のため、おおかたキャリー3個分プラスミカン箱4個程度の荷物が、このカメラという趣味のために運ばざるを得ない労力となりました。

 

 私、カメラを趣味としてから、8回ほど引っ越しをしております。その都度、いくつかの機材を手放しては、落ち着いたころに増加し、また引っ越しに際して手放しては、また増加し、というサイクルを繰り返しており、その都度、これだけの機材を必要とするのかは常々悩んでいるところではございます。

 

 これから、私のカメラ遍歴をお話しし、結果、現状のカメラ好き(まだコレクターには至っていない)となった経緯を皆様にお話しし、ついては、一種の機会にこだわることへの魅力、あるいは、怖さをご理解いただければと思っております。とはいっても、まだまだ、私は初歩的な段階にある、と常々思っているところではございますが・・・・

 

 このブログにつきましては、これから記載いたします記事の目次的役割を果たすものとして、更新していくものとなりますことをご理解ください。(下記目次は、今後の展開と私の気持ちの高ぶりにつれ、変わる可能性が大いにあることをご了承くださいませ。)

 

カメラの話(コラム第三回-1)カメラと、私。(カメラとの出会い)

film-camera-challenge.hatenablog.com

カメラの話(コラム第三回-2)カメラと、私。(オートフォーカスカメラが欲しい)

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カメラの話(コラム第三回-3)カメラと、私。(憧れへの到達)

film-camera-challenge.hatenablog.com

カメラの話(コラム第三回-4)カメラと、私。(異種との遭遇)

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カメラの話(コラム第三回-5)カメラと、私。(人との出会いがカメラとの出会い)

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カメラの話(コラム第三回-6)カメラと、私。(高画質への憧れ)

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カメラの話(コラム第三回-7)カメラと、私。(フィルムを要らないと感じた時)

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カメラの話(コラム第三回-8)カメラと、私。(EOSがもたらしたもの)

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カメラの話(コラム第三回-9)カメラと、私。(EOSがもたらした陰)

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カメラの話(コラム第三回-10)カメラと、私。(たくさんの、さようなら)

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カメラの話(コラム第三回-11)カメラと、私。(忘れられない鮮烈な記憶)

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カメラの話(コラム第三回-12)カメラと、私。(ミラーレスカメラの出現)

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カメラの話(コラム第三回-13)カメラと、私。(気づいた真実)

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カメラの話(コラム第三回-14)カメラと、私。(データに対する不安)

film-camera-challenge.hatenablog.com

カメラの話(コラム第三回-15)カメラと、私。(私の使命とは)

 

film-camera-challenge.hatenablog.com

カメラの話(コラム第二回)プロ用機種とは

 さて。

 

 前回に、所有していないカメラのことを書いてみると、一気に気が楽になりました。現在所有しているカメラは一通り書いてしまったし、レンズに触れていこうと考えていたものの、作例のupはどうしても必要と思われるけれども、作例のupのためにはデジタルカメラの使用が圧倒的に便利であり、本ブログの趣旨と反してしまうし、かといって、防湿庫がいっぱいなのに、さらにカメラを買い続けることもなかなか難しいし、と悩んでいたところでした。

 

 今回は、プロ用機種について書いてみたいと思います。

 

 前回記載した、キヤノン最後のフィルム一眼レフカメラ「EOS-1V」は、間違いなく、プロ用のカメラでございました。では、プロ用とはどのようなカメラのことでしょうか。

film-camera-challenge.hatenablog.com

 

 プロ用のカメラといっても、プロ以外の方でも購入ができます(できました)。というか、プロと名乗るために何らかの資格が必要な訳ではないので、「俺はプロだぜ!」って言ったら、それでメシを食べているかどうかも、仕事歴が1時間であっても、プロということになっちゃうわけであって、広く開かれた門であるわけです。

 では、プロ用のカメラとは。

 プロがお仕事に使えるだけの耐久性を有し、それとともに信頼性を有し、さらには操作性を有したカメラ、といえば良いでしょうか。

例えば、

ニコンF3

film-camera-challenge.hatenablog.com

キヤノンF-1改

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ペンタックスLX

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ニコンF4

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ニコンフォトミックFTN

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オリンパスOM-4Ti

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 これらは、まず間違いなく、プロカメラマンが第一線で使用していたカメラでございます。どの機種であっても、所有欲、写欲を満たしてくれることは間違いありません。

 プロ用の機種は、その用途にこたえるために、(当時の)最先端の技術と信頼性、耐久性を兼ね備えたものです。そのため、他の機種(いわゆる、アマチュア用機種)に比べると、大きく重いのがほとんどです。また、製造販売されていた当時は、月収〇か月分なんてものもザラだったことでしょう。なんせ、商売の道具ですからね。お父さんが日曜日に家族写真を撮るために要する信頼性とは別次元のものだったわけです。それが、一部のレア機種(限定品などですね)を除くと、お小遣い程度で買えるものも多々あります。それでかつ、高品位なものが味わえるのですから、言うことなしではないでしょうか。

 

 とはいうものの、さすがに製造販売が終了して10年以上経過すると、経年劣化による不調や修理不能の不安も出てまいりました。また、オークションや中古カメラ店において、圧倒的に良いものが減ってきており、また、良い個体があっても、価格がじりじりと、ここ最近においては急激にといっても過言ではない程度に上昇しております。いいもの持ってたら、手放しませんものね。

 信頼面や需要と供給のバランスを鑑みると、今がフィルムカメラを使うラストチャンスです。

カメラの話(コラム第一回)キヤノンEOS-1V

 さて。

 

 しばらく間が空いたのは、引っ越しのため、写真を撮る時間もですがゆっくりとした時間がなかったためで、書くことや書きたいことがなくなったわけではございません。

 

 この一か月余りの間に、キヤノンがついに、フィルムカメラを終えることとなりました。まだ、ホームページには残っておりますね。

cweb.canon.jp

 最後まで販売されたカメラは、EOS-1Vです。2000年に発売された、キヤノンのプロ用機種でした。すでに、18年も経っていたわけですか。2000年、ということは、20世紀だったのですね。

 キヤノンが初めて作ったプロ用機種がF-1。10年後にNew F-1となり、オートフォーカス化の際にマウントを変更、従来のしがらみから解き放たれ、当時のオートフォーカスに最適な形態を追求し、1989年にEOS-1を、1995年にEOS-1nを発売し、オートフォーカス性能をアップさせ、通称「シロ玉」と呼ばれる白い望遠レンズ、超望遠レンズがスポーツ写真界で席巻し、その集大成として作られたのが、このEOS-1Vでございました。

 2025年10月末までは部品在庫のある限り修理対応するとのアナウンスが出ておりますが、逆に言うと、安心して使える期間はあと7年しかないことになります。電子部品を多用した当該カメラは、ユニット交換が基本であるため、それ以降、故障した場合にはもう、手の施しようがないことになってしまいます。

 

 これで、フィルム一眼レフカメラニコンF6とFM10の2機種になったのではないでしょうか(一眼レフカメラ以外ではライカレンジファインダー機がありますが。)。

 

 フィルムカメラを使うラストチャンスは、今です。

カメラの話(個別第十五回) オリンパスOM-4Ti黒

 さて。

 

 前回に続いて、また、オリンパス製カメラの登場でございます。

 最近、急にオリンパス熱が高まり、我が家にはOM-1が3台、PEN-FV、そして本機が1台ずつの占めて5台があります。

(参考)OM-1

film-camera-challenge.hatenablog.com

(参考)PEN-FV

film-camera-challenge.hatenablog.com

 

 まずは、外観から。

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  1983年に発売されたOM-4の外装をチタンにしただけではなく、省電力、高性能CPU、高速シャッターシンクロストロボを搭載したカメラです。ご先祖であるOM-1とほぼ同じ外寸に十数年分の進化を押し込めたカメラ、とでも言いましょうか。シャッターは電子制御化され、絞り優先オート露出(もちろんマニュアル露出も)可能となっています。我が家では唯一のチタン外装のカメラでもあります。

 OM-1と比べて、高さが1mm増、重さは変わらず510gと驚異的な小型軽量ボディではないでしょうか。

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 上から見ると、OM-1とは全く別物であることがわかります。

 大型化されたシャッターボタン、その左手前の丸ボタンはスポット測光ボタン。狭い範囲の露出を測ると同時に、絞り優先オート時にはその露出で固定(AEロック機能)される優れもの。さらにその状態で、丸ボタン左に前後に並ぶ四角ボタン、前側が「ハイライトボタン」、後ろ側が「シャドウボタン」ですが、それらをプッシュすると、ハイライトボタンはスポット測光した部分がギリギリ白飛びしない明るさに、シャドウボタンはスポット測光した部分がギリギリ黒つぶれしない明るさに露出補正してくれるスーパー機能を搭載しています。また、スポット測光は複数のポイントを測光し、演算する機能も付いております。

 

 と、機能については褒めちぎっているところではございますが・・・・・

 

 OM-4Tiと私との出会いは、遠く2002年まで遡ります。とあるカメラ好きの方から、まぁ、暇つぶしに触ってなよと貸してもらったのがこのカメラでした。このカメラの基礎知識は持っていましたが、想像以上の巻き上げのぎくしゃくとした感触に絶句・・・・途中で重くなったり、最後はスカッと抜けるように軽くなったり、当時使っていたニコンF3ペンタックスLXと並ぶ高級機(なんせ、OM-4tiの定価18万円ですからね)と思っていたのに、なんじゃこりゃーーーーとびっくりし、買うこともなく、興味を持つこともありませんでした。

 そして、昨年、ひょんなところからOM-1を入手し、ズイコーレンズも増え、やっぱり、機能がてんこ盛りで優れていて、かつ、小型軽量のOM-4Tiは外せないよね、と思い、入手してしまいました。操作の感触ではOM-1が、機能ではOM-4Tiが優れております。今は主体に使っているのがネガフィルムですので、高度な露出演算は必要なく、OM-4Tiの高性能はただの宝の持ち腐れであり、結局のところ、感触の気に入っているOM-1ばかり使っている、ということが現状になってしまいました。

 ただ、チタンは他の金属素材に比べて熱伝導が低いのか、あまりひんやりしないので、独特の感触でもあります。きっと、そのうち、スライドフィルムを使用するようになれば、大活躍してくれると思っております。

 

 オリンパスOM-4Tiをまとめると以下のようになりました。

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携帯性は、小型軽量で、文句なしの満点。

デザインは、前からは文句なしに格好いいが、上から見てボタンが多く煩雑な印象があるので1点減点。

質感は、チタンではあるが塗装が傷んだものが多い(塗装が弱い?)ので1点減点。

操作感は、どうにもぎくしゃくとした巻き上げが残念で3点減点。

ファインダーは、、ズイコーレンズは絞りリングの位置が一定でないためやむを得ないのだが、絞り優先オートが使用可能にもかかわらずファインダー内で絞り値の確認ができないため、1点減点。

入手のしやすさは、18万円が8割引き以上のディスカウントで買えるのは魅力ではあるものの、程度の良いものの流通が少ないので1点減点。

堅牢・修理は、チタンは頑丈と信じてはいるが電子部品が壊れると修理不能なので1点減点。

システム力は、レンズの流通量が少なく、また、概して高価なため2点減点。

 

 OM-4シリーズは、マニュアルフォーカスカメラの集大成ともいえるカメラです。高度な露出制御と小型軽量を兼ね備えた、唯一といっても差し支えないカメラでしょう。さらに、外装にチタンをまとったOM-4Tiは、まぎれもなく、お仕事で使うカメラであります。

 ニコンF3ペンタックスLX、キヤノンNewF-1と比べても優れた部分を多く持つOM-4Tiではありますが、私は、どうしても、巻き上げの感触が気に入りません。OM-1もややぎくしゃくとしてはおりますが、度合いが全く別物です。シャッター最高速度を1/2000秒にしたためでしょうか。高さの1mm増も、単純に上側が高くなっただけではなく、下側に0.3mmほど伸びております。底板とマウント基部が面一にならず、マウント基部が0.3mmほど浮いた状態になります。レンズを付けてなければ差し支えありませんが、小型のレンズであっても装着して台に置くと前のめりになってしまうのです。これもまた、残念ポイントです。

 評価は、最高に惜しいカメラ、といったところでしょうか。もう少しで、私のベストな相棒になってもらえたのに、と、とても残念です。

 

カメラの話(個別第十四回) オリンパスPEN-FV(第二世代)

 さて。

 

 カメラの話(個別第十三回)での修理待ちのカメラは、このカメラでした。カメラの話(個別第六回)でご紹介いたしました、オリンパスOM-1以前に作られていた、伝説のハーフサイズ一眼レフ「オリンパスPEN-F」シリーズの最終形態です。実は、前々から興味はあったものの、1960年代の製品であり、すでに50年以上経過しており、耐久性、メンテナンス性に不安があり、ずっと手にすることはなかったものの、近所のカメラ屋さんで見つけてしまい、つい、お持ち帰りとなりました。

(参考 OM-1)

film-camera-challenge.hatenablog.com

 では、外観から。 

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 一眼レフカメラにもかかわらず、頭のでっぱりがないことがこのカメラの外見上での最大の特徴です。また、ミラーで横に光を屈折させることにより薄型ボディーとなっていることも特筆すべき事項です。

 

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 上から見ても、あるのは四角のシャッターボタンとフィルムカウンター、巻き戻しクランクだけ。前面にシャッターダイヤルが、後ろ側に巻き上げレバーが、控えめに配置されています。

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 底板も超シンプル。巻き戻しボタンと、三脚ネジだけ。欲を言うなら、三脚ネジはレンズの延長線上に欲しかったです、ややバランスが悪いです。ただ、このカメラを三脚に据えて撮影する、ということ自体が少ないという考え方でしょうか。

 

 残念な点は、ファインダーが暗いこと。このカメラは、上位機種「PEN-FT」からTTL露出計を省いたもので、内部にハーフミラーを搭載しないことから、PEN-FTよりもファインダーが明るい、と言われているものの、つけている21mmF3.5レンズでは、室内でピント合わせが困難です。まぁ、時代柄仕方ありませんね。また、視野周囲が角取りされ、丸くなっているのも個人的にはNG。写真の四隅はぴっちり90度角のはずなのに、丸いとは、と思ってしまいます。

 不安だったメンテナンス性は、本機内部にカビがあったため、福岡のカメラ修理業者に修理を依頼したところ、1万円未満でオーバーホールまで可能でした。機械式カメラとはいえ、特殊なシャッター幕を有すること、機構も非常に特殊であることからいつまでも修理が可能とは思えませんが、一安心です。

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 私がこのカメラに興味を抱いていたのは、私の撮る写真の9割が縦位置写真(縦長)でございます。普通のカメラは、横長であるため、縦にして(私は通常、右手を下にします)撮影する必要があります。このカメラは、ハーフサイズカメラで、通常のフィルムを縦に2分割したものが1ショットとなります。したがって、普通に構えると、縦長写真が撮れるのです。人体の手は、縦長のものを持つよりも横長のものを持つ方に適しています。このカメラは、私が写真を撮るうえで非常に優れているのです。9割を、標準的な構えで撮影できますから。

 ただし、通常のフィルムの1/2の面積(正確には撮影コマの間があるので1/2以下の面積)であることから、引き伸ばしたときに荒くなる、とか、36枚撮りフィルムが72枚撮りになりなかなか終わらない、とか、色々とその副作用もありますが、緻密で高精度の写真が必要であれば高性能レンズに高画素デジタルカメラを使えば済む話。デジタルカメラで72枚なんてあっという間に撮っているのだから、36枚だろうと72枚だろうと、誤差の範囲である、というわけで、全然大した問題にしておりません。

 オリンパスPEN-FVをまとめますと、このようになりました。

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携帯性は、薄型で頭のでっぱりがなく、小型軽量で、文句なしの満点。

デザインは、他にない秀逸なデザインで満点。

質感は、肉薄感があること、巻き上げレバーの薄さが気になり2点減点。

操作感は、きびきびとした動きではあるものの、独特のシャッター機構のせいか、結構ショックがでかいので2点減点。

ファインダーは、暗いが、明るいレンズをつけて屋外で撮る分には大きな支障はないため、2点減点。

入手のしやすさは、50年以上前のカメラで、良いものがたくさんあるとは言えないものの、あればそこまで高いわけでもないので3点減点。入手のしやすさは初代PEN-Fや露出計内蔵のPEN-FTのほうが現実的です。

堅牢・修理は、古いことから修理に不安があるものの、今回オーバーホールが可能であったため、とりあえず2点減点。

システム力は、レンズの流通量が少なく、クモリがあるものが多くまともなものはほぼありません。また、絞りに粘着きが出たものも多いです。なお、絞り不良のレンズを使うと、カメラも不調になるといううわさもありますので要注意です。私は純正のアダプターでOM用レンズが使用できるようにしましたが、絞り込み測光となり、暗いファインダーがなお暗くなるため、3点減点。さらに、このアダプターを使用すると、外部露出計がつけられなくなるので注意を要します。

 

 結果的には、非常にユニークで面白いカメラです。また、ハーフサイズなので、ランニングコストも低く抑えられることも魅力です。それ以上に、縦位置写真が主体のかたには、これしかない、と言えるカメラです。通常のフィルムは縦2:横3の比率ですが、ハーフサイズカメラは、縦4:横3なので、やや正方形に近く、なんとなくおさまりが良い気もします。フォーサーズと同じフィルム比率ということも、今のオリンパスデジタルカメラとつながっている、そんな気もさせてくれる、50年以上前の名機です。

 

レンズの話(個別第一回)ニコンAi-s50mmF1.2(ニコンFマウント)

 さて。

 

 今回から、レンズの紹介を始めましょう。前回にお話しした通り、作例はそろっておりませんし、デジタルカメラで撮影した写真を掲載することもなんとなく癪に障る(このブログはフィルム写真を推奨するページであることから、趣旨に合わない)ため、当面は作例はございませんので、ご承知おきください。

film-camera-challenge.hatenablog.com

 一つ目の紹介するものって、何にしようかとっても悩みました。ナメられないように、珍しいものからかかるか、とても古いものにするか、特殊性の高いものにするか・・・・

 しかし、このブログの趣旨は、「フィルムを使う写真に興味を持つ人を一人でも増やす」ことが目標でございます。ついては、珍しいものでない、とても古いものでない、特殊性の高くないもので、かつ、おおっというようなものとなると、このレンズにしか思い当たりませんでした。

 現行品の、ニコン製Ai-s50mmF1.2です。

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 現行品なので、詳細情報はこちら

www.nikon-image.com

 1981年(昭和56年)発売の、36年ロングラン選手でございます。ちなみに、ニコンでは2018年3月7日現在、このレンズを含めて8本のマニュアルフォーカスレンズが未だに販売されております。そのうちの2本が、50ミリレンズです。

 

 50mmF1.2は、標準レンズの中の大口径レンズにカテゴライズされます。

 標準レンズは、通常、40mm~60mmくらいの焦点距離で、視覚よりやや狭い範囲が写るレンズです。マニュアルフォーカスカメラが主流のころは、ごく当たり前に一本目のレンズとして購入するものでした。

 当時、各メーカーは同じ焦点距離であっても、明るさによって複数本販売していました。その中でも大口径は、メーカーの顔でした。競い合うように、高画質の大口径レンズを開発していました。当初は50mmの大口径化が難しかったためか、55mmや58mmなど、50mmよりも少し長い焦点距離のレンズが開発、発売され、このレンズは大口径レンズの第二世代と言える時代のものです。さらに進むと、非球面レンズが採用され、よりシャープな写りが期待できるものとなりました。

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 フィルター径は52mmですが、そのいっぱいにレンズが収まっています。焦点距離やシリアルナンバーは、50mmF1.4であればフィルターの内側に収まっていますが、このレンズでは収まり切れず、ピントリングの前面にあります。このレンズの見た目だけでも大満足です。

 

 ただし、同じく現役のAi-s50mmF1.4に比べると、弱点がないわけではありません。それは、若干重いことと、最短撮影距離が50cm(F1.4は45cm)であることです。現実的に、F1.2でないとどうしても撮影できないなんていうケースはほぼありません。実用的にはF1.4のほうが優れています。しかし、それでも、一回目に持ってきたのは、それ以上の魅力があるからです。

 

 F1.2で近接撮影をすると、ピントの合う範囲はほんの1mmあるかないかです。その1mmの平面上にあるものだけにピントが合い、あとは、なだらかにぼけていきます。遠景には何があるのかすらわからない描写ですこの、絵では表現できない、そしてピント合わせの慎重さが求められる緊張感こそが、このレンズの醍醐味です。また、ピントリングの滑らかさや、絞りリングの滑らかさは、F1.4よりもランクが上なことを感じさせてくれる官能感を有しています。

 

 このレンズは、一昨年の秋に「もうすぐなくなるらしい」というデマを信じて、あわてて新品で購入しました。6万円前後だったと思います。今買うのであれば、新品での購入を是非お勧めします。36年間現役であったとはいえ、この間にコーティングを含め、多くの改良を重ねてきております。最終型が一番良いに決まっております。また、36年前のものって、3昔前ですよね・・・もしかしたら、まだ生まれていない方もいらっしゃるのではないでしょうか。

shop.kitamura.jp

 

 最新型の大口径レンズの進化は目を見張るものがあります。F1.2やF1.4からキリキリに解像し、実を撮るのには最適かもしれません。しかし、このレンズの穏やかさや最新型のものに比べると圧倒的に小型軽量にもかかわらず、ずっしりとした密度の高さ、各稼働部位の緻密さ、品格、まったく所有欲においては引けを取るものではございません。

 

 いつまでも販売を続けていただけるとは思っておりません。このレンズを買うのであれば、今でしょ!

 

 さて、次は何のレンズにしようかな・・・しばらくは、ニコンシリーズが続きそうです。